20台のみが生産されたホモロゲモデルを再現!
ドイツが誇るスポーツカー、ポルシェ911。その第一世代(901型)が発表されたのは1963年のことだが、ホイールベースの延長を含む様々な改良を重ねたのち、第二世代へと移行したのは1974年からのことである。この第二世代は大型の前後バンパーを装備したことから”ビッグバンパー”と通称されるが、その型式名から”930”とも呼ばれる。もっとも、1974年当初930型であったのは新たに加わったターボのみで、NAモデルは外観はマイチェンされながらも’77年までは901型のままであった。
そんな第二世代の911において、特にスペシャルなモデルと言えるのが、たった20台のみが生産された、1984年の911SC / RSであろう。これは当時のグループB規定に合わせたホモロゲモデルで、ラリーカー等のベースとして無駄な装備と贅肉を削ぎ落とした、特別な911だ。具体的にはトランクフードとドアをアルミ製とすることなどで軽量化されているが、外観上では専用の前後バンパー(フロントは1974年のカレラRSに似たもの)とターボ同様のワイドフェンダーで識別できる。当然ながらその内容もホモロゲモデルに相応しいもので、エンジンは最高出力270PSまでチューンされ、足周りはターボと同等に固められていた。
930型911はもちろん当時から人気が高く、プラモデルやミニカーも様々なものがリリースされているが、1/24スケールのプラモデルに話を絞ると、現在入手しやすいものはタミヤとフジミ、そして出たばかりのレベルなどがある。そこでタミヤの911ターボをベースに、様々に手を加えてSC / RSを再現したのがここでお見せしている作品だ。911SC / RSは近頃NuNuからキット化されたが、この作品を制作した時点ではまだ存在していなかった。
911ターボからの改造
ターボとの大きな違いはいくつかあるが、やはりすぐ目に付くのは前後バンパーだろう。どちらもゴムのプロテクター部分のモールドを削り落とし、リアはエプロン部分を削除してしまうなどしてすっかり作り変えられている。同様に、分厚いサイドシルプロテクターも裏からプラ材を当てた上で削り込み削除した。
リアウィングはターボ同様のティートレー・タイプだが、左右の返しの形状が異なり、下部もエンジンフードフードとは繋がっていないので、それらを削ったり切り取ったりして造形し直している。
シャシーやコクピットには934のパーツを使用
これだけでも911SC / RSと言うことはできるのだが、コクピットにも変更を加える都合上、さらにタミヤ製934のパーツを合体。これは当初はバケットシートを流用することが目的であったが、934のキットにはドライバー用一脚しかパーツが付属しないため、934キットをふたつ使うという、贅沢なモデリングとなってしまった。せっかくなのでシャシー関連もパーツを流用。911ターボのキットでは前輪はシャフト式でステア不可能なため、934のパーツを移植することでステアリング可能としている。
前述の通り911SC/RSはすでにキット化されているが、タミヤ製911ターボからの改造は、同キットならではの滑らかなボディ形状と迫力あるデフォルメ(実寸よりほんの少し幅広のようだ)を活かすことができる、という大きなメリットがあるので、ご興味のある方はぜひ参考にして頂きたい。