スバルとトヨタによる共同開発で、希少なFRクーペとして誕生したBRZが第2世代へと進化した。そのディメンションは、ほぼ先代と同じながらエンジンは2.4ℓへと拡大。FR駆動も継承されているが、先代のデビューからすでに10年。その歳月が新型にもたらした変化とは果たして?
新しい2.4Lフラット4ユニットは数値以上の魅力を披露
ほぼ先代と変わらないサイズ感、そしてキープコンセプトと言える外観で登場した新型BRZ。しかし、その中身は見ためから想像される以上の進化を果たしていた。特に印象的なのは、もはや世界的にも貴重なFR駆動のコンパクトクーペらしさを継承しつつ、新型ではそこに情緒的な”艶っぽさ”が見出せることだ。
まず、そのスタイリングは実車を前にすると先代よりも明らかに肉感的であることに気付かされる。特に前後のフェンダー回りは全幅が変わっていないとは思えないほどで、クーペとしての魅力度はこれだけでも着実に上がっている。また、ほどよくプレスラインの類を整理した結果なのか、クルマ自体の佇まいが先代より大人びて見えるのも本当の話だ。
一方、室内はスポーツモデルに必要な要素こそ満たしている反面、質感などはソコソコ。クーペといえば本来は大人の乗り物でもあるだけに、このあたりは特別仕様の追加といった今後の展開も期待し
たくなる。だが、絶妙なグリップの太さ、手触りのステアリングなどには”目利き”の存在を感じずにいられないのもまた事実。たとえば、若い頃にナルディだモモだとステアリング回りを弄り倒していた筆者のようなミドル世代なら、新しいBRZの仕立てにも納得できるはずだ。
そんな随所に見え隠れする情緒ある風情は、走らせると一層鮮明になる。搭載する水平対向4気筒は、今回から排気量を2.4Lへと拡大しているのだが、その体感的な効果はスペック上の数値をはるかに上回るものだ。先代の2Lに対してパワーが28㎰、トルクは38Nmを上乗せしつつ後者の発生回転数は低く抑えられているだけに、扱いやすさは数値相応に向上している。試乗車は6速MT仕様だったが、ずぼらな操作も受け付けてくれるので低速で這いずり回るような環境下でもストレスの類は皆無。適度な重さもあるシフトフィールと相まって、日常の走りをエンタテインメントしてくれることも請け合える。
だが、このユニットで乗り手がニンマリさせられるのはアクセルを深く踏み込む領域だ。吹け上がりがことさらシャープというわけではないが、トルク感、回転上昇に伴うパワー感がアクセルの踏み込み量にしっかりとリンクしているのは自然吸気エンジンならではの魅力。なおかつ、喜ばしいのは回転域に応じたストーリー性が感じられることだ。さらに付け加えるなら、この2.4Lはリミットまでパワーフィールが衰えないので、そこまで回す意義も見出せる。このあたりは、厳しい言い方をすると「ただ回っているだけ」という感覚だった2Lから大きく進化したポイントと言える。
それを受け止めるシャシー回りも、良い意味で大人っぽい。特に意外だったのは、日常域での乗り心地が決して荒れてはいないこと。もちろん、スポーツモデルだけに硬めではあるのだが不快な突き上
げとはほぼ無縁。それだけに、何気なく走らせる場面でも乗り手は平穏な感覚でいられる。
だが、いざ積極的に操ればFRならではのスポーツ性はしっかりと味わえる。ステアリング操作に対する反応はリニア、かつ伝わる情報の純度が高いのでコーナーでの安心感は十二分だし、適度なストローク感もある足回りは荷重変化がつかみやすくコントロール性が高い。そして、コーナーなどからの脱出時には前から引っ張るのではなく後ろからクルマを押し出す〝あの感覚〞が存分に愉しめることも言うまでもない。
と、このようにFRという金科玉条に加えて本質的な走りの愉しさにも磨きがかかった新型。個人的には、ベテランの走り好きにも自信を持ってオススメしたい。
【Specification】スバルBRZ S
■車両本体価格=3,267,000円(税込)
■全長×全幅×全高=4265×1775×1310mm
■ホイールベース=2575mm
■トレッド=前1520、後1550mm
■車両重量=1270kg
■エンジン型式/種類=FA25/水平対向4DOHC16V
■総排気量=2387cc
■最高出力=235ps(173kW)/7000rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/3700rpm
■燃料タンク容量=50L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=11.9km/L
■トランスミッション形式=6速MT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後Wウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前215/45R18、後215/45R18
公式ページ https://www.subaru.jp/brz/brz/
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