ユーロNCAPが商用バンを金・銀・銅で評価

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配送需要を担う商用バンの先進安全性能をジャッジ。その評価はやや厳しい結果に

ユーロNCAPが2020年12月に商用バンの先進安全性能(衝突被害軽減ブレーキ、車線維持機能など)の評価結果を公表した。ピックアップトラックやバンベースの乗用車ワゴンの評価はその都度行われてきたが、商用バンを主体とした評価は2015年以来。 さらに今回は車両総重量 (GVW)3500kg以下の21車種と対象が幅広く、ユーロNCAPによると欧州で販売されている商用バンの98%を網羅できたという。また、商用バンは大きく重く、事故時に衝突相手に与えるダメージが大きいにも関わらず、コスト優先で先進安全装備の搭載が乗用車より遅れており、それを周知する目的もあると思われる。

安全基準などの違いもあり、商用バンに関しては最新の評価基準ではなく2018年の評価基準を適用。総合評価も星の数ではなく金・銀・銅のメダル色で表現しており、最高評価としてプラチナも設定したが、今回は残念ながらプラチナを獲得したクルマはなかった。一方で銅メダルにも達せず、達成率が20%以下で「推奨せず」となった商用バンも5車種あり、ユーロNCAPは「乗用車には標準装備されている先進安全機能が商用バンではオプション設定となっており、なかにはオプションでも搭載できない車種もある。さらに安全装備に関する情報も複雑かつ不足している」と指摘。進化する乗用車の安全装備に対し、同じ路上を走っていながら商用車の対策が大きく遅れていることを指摘している。

メルセデス・ベンツの主力商用車スプリンター。3代目となる新型はMBUXなどのコネクテッドサービスを装備することも可能。

欧州圏内とはいえ、クルマの安全基準に関しては国ごとに異なる部分もあり、商用バンではその傾向が顕著だということも今回の試験で判明。また、フルオプションの安全装備を搭載した商用バンは実際の路上で見つけることも難しく、試験車両を手に入れるのも難しかったと述べている。さらに新型コロナウイルスの感染拡大により欧州でもバンによる配達需要は増加しており、そういった時代を迎えるなか、自動車メーカーやバンを購入する企業も、安全性能に対する意識の向上と、安全性能を高めるオプションの積極的な選択が必要だと提言している。日本にはほとんど輸入されていないこともあり、あまり馴染みのない欧州の商用バンだが、商用車の安全性向上という次なる課題を提示したユーロNCAPの方向性には敬意を表したい。

ルボラン2021年月号より転載

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田畑修
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2021/02/12 07:00

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