GT TSI 新世代TSIシリーズを代表するモデル
いま一番人気のゴルフは、1.4LのTSIユニットを搭載するGT TSI。スーパーチャージャーとターボチャージャーという2種類の過給器を組み合わせ、高出力と低燃費を実現したこのTSIは、ご存知のように、VW近未来の主力エンジンだ。ミッションは、これまたVW自慢のDSG。この組み合わせの実力は確かなもので、170psのパワーと効率のよいDSGがもたらす加速とスピードは、とても1.4Lのものとは思えないものだ。
実用車として優れるのは、エンジンの使い勝手のよさだけではない。燃費のよさも特筆もの。10・15モードはNAのFSIであるEの1.6が12.8km/Lであるのに対して、TSIは14.0km/L。これまで高出力と低燃費は両立しないとされたが、VWの最新テクノロジーはそれを可能とした。
いまあるゴルフの中で、ハンドリングと乗り心地のバランスが最も優れている点も見逃せない。タイヤ&ホイールは17インチ。だが、サスのセッティングが素晴らしく、不快な突き上げのない、ソリッドでフラットな乗り心地を実現している。ことハンドリングの鋭さではGTIに劣るものの、乗り心地とのバランスはピカイチだ。
GTI 進化した元祖“ホットハッチ”
相変わらずの人気を誇るのはGTIだ。直噴2Lターボの200psがもたらす刺激的な加速と、非常によくセッティングされたサスがもたらすハンドリングは、GTIの名に相応しい。GT TSIが登場してむしろその存在感を増したというべきか、その群を抜くスポーツ性が改めて認識されている。もちろん、その主たるユーザーは男性だが、注目は年齢層の幅広さだ。かつてのGTIを知る世代は、このVのGTIがらしさを取り戻していて、ホンモノのGTIになっていることを評価。かつてのGTIを知らない世代は、このⅤのGTIでいわゆるホットハッチの魅力に気づかされ、あるいは目覚めさせられて“虜”になっている気配。いまGTIは密かなブームとなりつつある。
R32 ゴルフ史上最強のモデル
3.2Lという、ゴルフとしては掟破りの大排気量エンジンを搭載するR32は、やはり別格。V6であることやその豪華な装備はいわゆる“ダンナ仕様”であることをうかがわせるが、その性能は決して侮れるものではない。それどころか、250psものパワーを4モーションで余すところなく路面に伝え、安全かつ容易に非日常的なスピード領域まで引っ張るあたりは、GTIに優るとも劣らないスポーツ性を感じさせる。その性能はあきらかに過剰だが、そこのところが少なからず贅沢感を産み出していることも確かだ。
最後にお伝えしておきたいのは、ベーシックのE、GLiも、近くTSIユニットに換装される見込みであることだ。TSIに換装ということは、ミッションもすべてDSGになるということ。DSGはストップ&ゴーを繰り返すといった渋滞のなかでは、クラッチミートがややラフに感じられて煩わしいところがないでもない。もしあなたがトルコンオートマチックのあの滑らかさを求めるのなら、いまのうちにディーラーに向かうことをオススメする。
取材協力=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン
リポート:小倉正樹/タイトルフォト:赤松 孝 宮門秀行
- 1
- 2