※この記事は2006年12月に発売された「VW GOLF FAN Vol.10」から転載されたものです。
IVルック・カブリオレの魅力と正しい中古車の選び方を再検証
VWオープンの歴史を築き上げてきたゴルフ・カブリオ。とりわけ、IVルックを持つ最終型ゴルフ・カブリオレは、完成度も高く、中古車として狙うにも打ってつけの存在だ。ここでは、そのⅣルック・カブリオレの魅力を、インプレッションを交えながら再検証。さらに、中古車のプロに「カブリオ」の選び方、魅力を語ってもらう。
ゴルフIIIの味わいとIVのルックスを併せ持つ
こうしてゴルフIII時代から数えて12年、ゴルフI〜III時代も入れると26年の歴史を持つゴルフ・カブリオだが、II時代以降のモデルならユーズドカーを手に入れることもそれほど困難ではない。特に最終モデルの「IVのカブリオ」(※後期型。以下、本文ではIVフェイスのモデルはのカブリオレと表記)は特別限定車「カラーコンセプト」が’02年まで販売されていたこともあり、4〜5年落ちの程度のいいクルマも少なくない。
今回試乗したカラーコンセプトのユーズドカーも’02年5月登録で走行距離は約3万6500km。フォルクスワーゲンの認定中古車で178万円のプライスが付けられていたが、装備の充実度を考えるとお買い得といえそうだ。
この「ゴルフIVのカブリオレ」は、ゴルフIIIの味わいや扱いやすさを残しながらも、フロント回りをしっかり「IVルック」に仕上げて登場してきたクルマだ。ヘッドライトを4灯にしたぐらいで、あとはずっとベースシルエットを守ったI〜II時代のカブリオにも潔さを感じるが、基本ボディとシャシーはそのままで、ここまでフロント回りを上手くIVのカタチに整えた技術というか、フィニッシュデザインにも感心する。今回、改めて実車をじっくり眺めてみて、その感をますます強くした。
まず、幌も開けずに乗り込んで、おずおずとクルマをスタートさせてみたが、オープンボディの実感があまり湧かないほど〝フツーのゴルフ〞だ。歩道のスロープの乗り越えや、舗装状態の良くない道路を走ってもボディのきしみや違和感のある振動もなく、我慢して乗るオープンカーではない。トラックの横を通り過ぎるとき、幌を透過してくる騒音が斜め上から聞こえてくるが、普通の音量で聞いているオーディオの音を妨げることもなく、6層仕上げの幌の遮音効果は最新のオープンカーと比べても遜色はない。
次に幌を開けてオープン・エア・モータリングに浸ってみよう。ハッチバックベースゆえにAピラーが立っているため、前席頭上の開放感はクーペベースのオープンカー以上。センターロールバーも走行中は視界に入ることもないので開放感を妨げることはないし、ふと目に入ったときも頭上にバーがあると逆に安心感を覚える。
さらにウインドーをすべて閉じると「特大サンルーフ車」に乗っているような囲まれ感もあり、交通量が増えて周囲にクルマが詰まってきたときなど、これが意外といい。フルオープン好きの人からは否定的にとらえられることの多いセンターロールバーだが、幅10cm程度のバーは邪魔でもなく、オープンカーに乗り慣れてない人にとっては安心のアイテムともいえる。また、このバーがクローズド時には大きな幌を支え、しっかり頭上空間を確保してくれることも忘れてはならないだろう。
やはりAピラーが立っているせいか風切り音はそれなりだが、風の巻き込みはあまり気にならず、4つのサイドウインドーをしっかり閉めておけば腰回りのヒーターの効きも十分。カラーコンセプトはシートヒーターも標準装備されているので、寒い時期でも快適にオープンエア・モータリングが楽しめる。Iのカブリオの初期型ではたたんだ幌が盛り上がって後方確認しにくく、バックするときに難儀したものが、さすがにIVのカブリオレではそんなこともない。4020mmの全長はポロより10cm長いだけなので、ゴルフIVやVより取り回しは楽だろう。