【国内試乗】細かすぎて伝わらない!? マツダCX-5の商品改良でクルマ作りの奥深さを知る!

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2019年10月に続く2度目の商品改良を受けた最新モデルに試乗!

2012年に初代が登場するや、世界的な反響で一躍マツダの基幹車種となったCX-5。2017年に現行モデルである2代目となり、今回は2019年10月に続く2度目の商品改良を受けた最新モデルに試乗することができた。

2020年12月に2度目の商品改良を受けたマツダCX-5。こちらのグレードはXDエクスクルーシブモード。

従来の国産車にありがちであった、2年でマイナーチェンジ、4年でフルモデルチェンジというサイクルを既にマツダはとっておらず、ショールームにある新車が常に最新の状態であるという”一括企画”を採用してきており、それもだいぶ定着してきた感がある。事実、マツダスカイプランと呼ばれる残価設定型ローンを活用し、”洋服を着替えるように”こまめに最新型へ買い替えるユーザーも出ていると聞く。

マツダ側も「新型車だけでなく現行モデルを大事に育てていく姿勢も見て頂きたい」(開発主査の松岡英樹さん)とコメントしており、そういった目線で今回の商品改良を見ていくと、見え方もまた異なってくるもの。なにせ見た目の違いと言えば、限定車のブラックトーンエディションは別として、インテリアのセンターディスプレイが最新版に変更されたくらいだからだ。

従来の8インチから8.8または10.25インチへと変更されたディスプレイ。もちろん中身も最新の仕様となる。

今回の改良のポイントは、2.2リッターのディーゼルの最高出力を190ps/4500r.p.m.から200ps/4000r.p.m.へと向上させ、高速道路での合流や追い越し時の加速を持続させること、アクセルペダルの操作力を最適化させコントロール性能を改善したこと、6速A/Tの応答性を向上させたこと、となる。

それだけ? と言われれば”イエス”と答えるしかないが、試乗会を催すくらいであるから、結論を先に書けば効果絶大だった。マツダの試乗会では恒例の旧型も用意され比較したゆえの結論であるから、勘違いではない。

旧型から新型に乗り換えると、変更されたディスプレイは”最初からこうじゃなかったっけ?”と思えるフィット感。ポイントは事前にわかっていたので、旧型では前後の車間を確認しつついやらしくアクセルペダルをあおってみると、確かに”ブン!”とクルマが前に出過ぎる感じがあったのが、新型では見事に改善。前に出過ぎずかつ加速が足りない感じもなく、マツダはアクセルペダルに対するクルマの反応を”躍度”と呼んで以前より研究してきたが、今回はまさにその成果が出たといった印象だ。

高速道路に乗り入れても、A/Tの制御も効いているのだろう、アクセルに対するクルマの動きが自然になっており、より”自由自在感”、”人馬一体感”がでてきたと思えた。試乗車を4WDから2WDに乗り換えると、車重が軽いからかより軽快な動きを見せてくれ、終始好印象の試乗となったのである。

試乗後、そのあたりの印象を伝えながらパワートレイン開発本部の鴻海健二郎さんに話を伺ってみた。まずA/Tに関しては、登坂時の変速を変更。これまで踏みこむ量と動力性能の発生にズレがあり、それを適切化したそうだ。またペダルに関してはバネレートを変更。ペダルのフィーリングと速度の出方をマッチさせたという。

ユーザーの好みはそれぞれで、しかもCX-5のようなワールドワイドに販売する車両だと走行環境も様々で、落としどころが難しいように感じる。しかし鴻海さんは、人間の筋力の使い方は同じであり、そこを捉えればフィーリングが同じになると説明。操作感が日本人であっても欧州の人であってもあうように、目標を設定しているのだ。

こちらは各車に設定されている限定車、ブラックトーンエディション。黒で引き締めた外装と、赤の差し色を使用した内装が特徴。

そういった人間の筋力や動きを研究しているからこそのエピソードをひとつ。先ほど、”4WDから2WDに乗り換えると、車重が軽いからかより軽快な動きを見せ”と書いたが、鴻海さんによれば加速度自体は同じで、4WDと比べ2WDはどうしても前を押し上げる姿勢になり、その傾きを”首の筋肉で感じた”ことを、筆者は軽快と受け取ったのではないか、とのこと。

ちょっとした変更であるが、実に奥が深い話であった、というのが本稿の趣旨。なかなかユーザーには”細かすぎて伝わらない”話なので、こうして原稿にした次第だ。マツダが”大事に育てていく姿勢”がよくわかった試乗となった。

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平井大介
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