【スペシャルインタビュー】「BBS vs 元 LEXUS Fモデル 開発責任者 矢口幸彦氏」レクサスの生みの親に訊く、BBSブランドの在り方

毎年違うデザインのホイールを作ってほしい

「クルマにとってホイールは、とても重要なパーツなんですよ。ホイールが変わるだけで、クルマを買い換えて頂けるお客様もいるくらいに。ですから私がレクサスにいるときは、BBSに『毎回違うテーマを掲げるので、毎年違うデザインのホイールを作って欲しい』とお願いしていました」

矢口さんが今年の春頃に入手したアバルト124スパイダー。アルミ鍛造2ピースホイール「LM」との相性はバツグンにいい。

こうしてレクサスに登用されたBBSホイールは年々細く、そして美しく進化を果たしていった。またこうすることで大径ブレーキが放熱性を高めると共に、その性能をアピアランスとしてアピールすることができたのだという。

刺激を与えられるアイディアを色々出して業界に貢献していきたい

「アルミを鍛造することでホイールの強度が高まると、衝突安全に対する要件までもが変わってきます。また靭性(粘り強さ)が出ることで、乗り心地も良くなる。こうした条件を製法によって色々組み合わせられるのが、BBSのすごいところだと思います」

今回はアイコードに協力していただき、アバルト124スパイダーの純正ホイールをBBSのLMと交換した。リム幅7.0→7.5というワイド化ながらも、ホイール1本あたりの重量は純正が18.05kg、LMは17.80kgと軽量化を実現している。

すでにBBSでは、その“靭性”をコントロールする領域にまで来ているのですか?
「はい。ご存じの通りタイヤは、年々扁平率が低くなって、エアボリュームが少なくなってきています。その状況で優れた操縦性と快適な乗り味を両立するために、靭性をコントロールしています」

ちなみに、今日乗っていらっしゃったアバルト124スパイダーはご自身のクルマですか?
「これは世の中がこんな状況になったので、仕事で移動するために春頃手に入れたんです」
もともと欧州車はお好きだったのですか?
「ええ。昔はアルファ156にも9年ほど乗っていたほど、イタリア車は好きなんですよ。そしてボクも『F』をやっていたので、このクルマはちょっと興味があったんです。マツダ・ロードスターをベースにハイパワーなエンジンを積んで“アバルト化”している。どんなことをやってるのかな? って見てみたかったんですよね」

矢口さんは毎月1000km以上の道のりをこのアバルトで走るのだという。

今回アバルトに装着されているホイールは、どういう理由から選ばれたのですか?
「アバルトはブレンボブレーキを装着している関係から、ロードスター用ホイールが装着できない。ですからこれをクリアするタイプとして、『LM』を選びました」

レース名「Le Mans」を冠したアルミ鍛造2ピースホイール「LM」。1994年の登場以来、世界で愛され続けるロングセラーモデルだ。サイズは17インチ×7.0J~21インチ×10.0J。価格は8万5500~20万円(税抜)となる。

ご存じLMは、1994年から発売され続けているBBSのロングセラーホイール。その名の由来は当然、「ル・マン24時間耐久レース」。この歴史あるレースで装着されてきたBBSホイールのデザインをベースに、2ピース構造を与えた鍛造ホイールである。
「このクルマは目地段差などでの乗り上げ(バンプ要件)がちょっと苦手なのですが、LMに換えたら乗り心地が良くなりました。あとステアバランスと接地感が向上したので、普段の道がきれいになったように感じられましたよ」

最後に、これから矢口さんがBBSに実現して欲しいことがあれば教えていただけますか?
「クルマ屋の立場として言えば、その性能を維持したまま、さらに軽さへ挑戦して欲しいですね。あとは空気圧コントロールの自由度を、ホイールで高めるとか。その他にも空力や冷却性能に貢献するデザインを採用したり。インホイールモーターの時代が来たら、そのモーターを守って上げるのもホイールの役目になるでしょう。

自分は好き勝手言うだけですから気楽なのですが(笑)、それでもサプライヤーの人たちは常に今と向き合っていて忙しいですから、先のことを考えるのはなかなか難しい。それは私も現役のときに感じていたことなので、皆さんに刺激を与えられるアイディアを色々出して、自動車業界へ貢献していきたいと思います」

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愛知県豊田市を拠点とするポルシェとレクサスの専門店。コンプリートカーの製作販売やチューニングパーツの開発を行なう。

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BBSジャパン 03-6402-4090 www.bbs-japan.co.jp
撮影協力
ノリタケの森 052-561-7114 https://www.noritake.co.jp/mori/

フォト=宮越孝政/T.Miyakosh、小林俊樹/T.Kobayashi ルボラン2021年1月号より転載

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