最高出力200ps、最大トルク28.5kg-m
走り出す前に、新しいGTIの概要をお伝えしておこう。
注目のエンジンは、2リッターのFSI(直噴)をベースにギャレット製のターボチャージャーを装着、インタークーラーも装着して、最高出力をベースの150psから50psプラスの200psに引き上げたもので、その発生回転数はベースの6000rpmよりむしろ下がって5100rpm。最大トルクはベースの20.4kg-mから28.5kg-mと、ターボらしく最高出力以上に引き上げられている。このトルクが1800~5000rpmという幅広い回転域で得られているというのもターボのマジックであり、このエンジンの大きな特徴といえるだろう。もちろん、ベースに装備された連続可変バルブタイミング機構や可変吸気マニホールドなどが、このトルク特性の獲得に貢献していることも間違いないと思われる。
長い直線が最大の特徴となるポール・リカール。いまやテストコースだから、観客席などはなく、不思議な感じがするサーキットだ。
ミッションは、6速マニュアルと、6速DSGの2種が用意される。DSGはオートモード付きで、フロアのシフトでマニュアル操作ができるほか、ステアリングホイールのスポークの裏側に付くパドルスイッチでもギアチェンジが可能だ。両者のギアのステップ比は似たようなものだが、最終減速比が違って、6MTが3.94、DSGが4.06と、DSGのほうがややローギアード化されている。
サーキット走行を前に、コースの説明および走行上の注意を聞く。胸が高鳴ってくる!
このためか、6MTとDSGのパフォーマンスデータは微妙に違っていて、0~100km/h加速は6MTが7.2秒に対し、DSGが6.9秒、最高速は6MTが235km/hに対し、DSGが233km/hとなっている。少なくとも加速に関してはDSGのほうが有利というデータであり、DSGのシフトアップがいかに素早く効率的であるかを示すデータであるともいえる。ちなみに、IVのGTIのデータは、0~100km/h加速が8.5秒、最高速が216km/hであり、新しいGTIが大幅な性能向上を果たしていることが分かる。さすがに、あのR32にはまだ負けているが。
ピット上のテラスから、いざコースに飛び出そうというGTIを捉える。ご覧のように影は長い。こんな夕方になるまでタップリ走れたのだ。
このパフォーマンスの向上に合わせて、当然ではあるが、サスペンションやブレーキも大幅に強化されている。フロント=ストラット、リア=マルチリンクの形式こそ変わらずだが、スプリング、ショックアブソーバー、スタビライザーなどが見直され、特にリアのスタビライザーについては20%強化。車高は15mmダウンの1466mmとなる。
ほぼF1専用のテストコースといえるポール・リカール・サーキット。新しいGTIを試すのに、これ以上のシチュエーションはまずない。
タイヤ&ホイールも標準を225/45R17と7.5J×17の組み合わせとするなど、パワーアップに見合うグレードアップが図られる。このVで電動となったパワーステアリングは、制御のコンピュータのマップが書き換えられ、ノーマルよりもやや重い設定になっているという。ブレーキは、フロントが312mm径、リアが286mm径と大径化され、キャリパーは赤く塗られる。