2代目となる現行のパナメーラは、2016年6月にドイツ・ベルリンでワールドプレミアを果たした。デビューから4年が経過し、改良を受けた新型がついに登場。ポルシェらしいパフォーマンスや高い快適性など、第2世代パナメーラのコア機能が、さらに強化されている。
ニュルブルクリンクの北コースを13秒も短縮
先月来、カムフラージュ状態での最終仕上げテスト、そしてスタジオでのスタティック取材に続いて、ようやくパナメーラの2021年モデルの試乗会が開催された。
新型は、従来型の「ターボ」グレードが、ターボSに進化。4LV8ツインターボエンジンは、従来のターボより80ps/50Nm向上して、最大出力630ps、最大トルク820Nmを発揮する。
以前にもお伝えした通り、今回のフェイスリフトの意図は様々な個性を持ったライバルの登場に対してパナメーラの守備範囲をさらにダイナミック、そして快適、ラグジャリーに広げようとするもの。
コーナリング性能を最大化できるよう、3チャンバーエアサスペンションやPDCCスポーツなどが、各モデルにあわせて専用にカスタマイズされ、最適化されているという。
それゆえにポルシェはこのフェイスリフト発表の直前、新たにラインナップに加わった630psのパナメーラ・ターボSで、ニュルブルクリンクの北コースを7分29秒81というアッパークラス4ドアサルーンのカテゴリーで新記録を達成した。これは自らが旧パナメーラ・ターボで樹立したタイムを13秒も短縮している。
パナメーラ4S E-ハイブリッドはセルの最適化により、バッテリー総容量は従来のハイブリッドモデルの14.1kWhから17.9kWhへと拡大している。
さて、新色チェリー・メタリックのボディを纏った新型パナメーラ・ターボSは、新色が加わった以外にフロント左右に2本のLEDライン、リアエンドには左右に繋がったコンビネーションライト、そして新しいデザインの21インチホイールを採用する。その変更点はミニマムで現行モデルのオーナーがようやく気がつく程度だ。
PCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネージメント)もアップグレードされ、オンライン・ボイスコントロールがさらに快適になりアップル・カープレイがワイヤレスで利用可能になった。もちろんADASの進化も。
インテリアの変更点も少なく、先月のプロトタイプでカバーされていたステアリングホイールも回転式のスイッチが加わった程度だった。大きな変更点はエンジンで、V8ツインターボは燃料噴射圧を最大250バールまで引き上げ、ターボレイアウトを含む吸排気系の改善などで最高出力は630ps、最大トルク820Nmを発揮する。さらに高効率の8速PDKとの組み合わせで、0→100km/h加速は3.1秒とタイカンの2.8秒には劣るが、最高速度は315km/hと大きく引き離す。当然、アウトバーン上では圧倒的なパワーでハイスピードドライブを堪能することができる。
加えて、PDCC(ポルシェ・ダイナミック・シャーシ・コントロール)は48Vオンボードシステムにより作動は瞬時にスムーズに行われ、アップグレードされたエアサスで乗り心地、快適性も申し分ない。
一方、フロント左右のシングルLEDラインを持ったGTSグランツーリスモは、480psと620Nmを発生するV8ツインターボを搭載したスタイリッシュなシューティングブレークである。ターボと比較するとナチュラル・アスピレーションに近いなだらかなパワーの盛り上がりを持ったエンジン特性だ。とはいえ0→100km/h加速は3.9秒、最高速度300km/hは4ドアGTとしては間違いなくトップクラス。
続いて試乗したのはパナメーラ4SE-ハイブリッドで、136psの電気モーターを440psの2.9L V6ツインターボと8速PDKの間に挟んだPHEVを搭載。システム出力560ps、最大トルク750Nmを発生する。また、17.9kWhの容量を持つバッテリーを採用し、最大54kmのEV走行が可能だ。そして欧州ドライブサイクルで100kmあたり2.2~2.1L(日本式への単純換算で1L当たりおよそ45km)という環境性能も併せ持つ。
パナメーラ4S E-ハイブリッドはセルの最適化により、バッテリー総容量は従来のハイブリッドモデルの14.1kWhから17.9kWhへと拡大している。
すでに、ターボS、GTS、そして4S Eハイブリッドは、8月27日からポルシェ・ジャパンで予約販売が始まっており、価格はターボSが2882万円、GTSは1949万円、そして4S Eハイブリッドは1877万円と発表されている。
スポーツツーリスモは、ワゴンタイプの「シューティングブレーク」。GTSモデルの場合は、新しいティンテッドテールライトユニットが標準装備。