鉄道にも水素を使った燃料電池技術を! トヨタが試験車両を開発へ

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JR東日本&日立製作所と連携して2022年より実証実験を開始!

トヨタとJR東日本、日立製作所の3者は、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両を連携して開発することに合意した。

世界がサスティナブルな社会の実現を目指す中、大量輸送機関である鉄道にも、よりクリーンなエネルギーで走行する次世代鉄道車両が期待されている。その点、水素はさまざまな原料や再生可能エネルギーを活用して製造することができるうえ、エネルギーとして利用する際は二酸化炭素を排出しないという優れた環境特性がある。

そこで水素をエネルギー源とする革新的な鉄道車両を開発することで、地球温暖化防止やエネルギーの多様化などによる脱炭素社会の実現に貢献することが目標とされた。JR東日本は鉄道車両の設計・製造の技術、日立はJR東日本と共同で開発した鉄道用ハイブリッド駆動システムの技術、そしてトヨタは燃料電池自動車(FCV)の「MIRAI」や燃料電池バス「SORA」の開発で培った燃料電池の技術を有している。

3社はそれぞれが持つ鉄道技術と自動車技術を融合、自動車で実用化されている燃料電池を鉄道へ応用することで自動車より大きな鉄道車両を駆動させるための高出力な制御を目指したハイブリッド車両(燃料電池)試験車両を実現するという。

搭載されるハイブリッド駆動システムは、燃料電池装置と主回路用蓄電池の両方からの電力を主電動機に供給、車輪を動かす制御を行なう。このシステムの中で、トヨタは燃料電池装置を開発。ハイブリッド駆動システムは日立が担当する。

試験車両主要諸元

項目:FV-E991系 仕様
車両構成:2両(1M1T)
最高速度:100km/h
加速度:2.3km/h/s
航続距離:約140km(最大)
主回路装置:電力変換装置(VVVFインバータ)、1C2M×2群、主電動機 95kW×4
燃料電池装置:固体高分子形 60kW×4
主回路用蓄電池:リチウムイオン電池 120kWh×2
水素貯蔵ユニット:最高充填圧力 70MPa(大気圧の約700倍)
水素貯蔵容量:51L×5本×4ユニット

なお、開発車両の愛称は「HYBARI(ひばり/HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation)」。これは「変革を起こす水素燃料電池と主回路用蓄電池ハイブリッドの先進鉄道車両」をイメージして決定されたもの。アルファベットの「HY」には水素(HYdrogen)の意味とともに、「HYB」でハイブリッド(HYBrid)の意味が込められた。
車両のグラフィックは、燃料電池の化学反応から生まれる水を碧いしぶきと大地を潤すイメージでとらえ、スピード感と未来感を持たせたデザイン。また、ひばりは春の訪れを告げる鳥として知られていることから試験車両の「HYBARI」のロゴも、大地に春の息吹を吹き込むように、車両に新しいエネルギーを吹き込むイメージでデザインされている。

実証試験の概要
開始時期:2022年3月頃(予定)
試験区間:鶴見線、南武線尻手支線、南武線(尻手~武蔵中原)

この実証試験の実施にあたっては神奈川県、横浜市、川崎市の協力を得て環境整備を実施。

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