スズキの船外機用として2021年よりオプション設定し将来的には標準装備に
スズキは、世界初となる船外機に取り付け可能なマイクロプラスチック回収装置を開発した。近年、正しく回収されずに海に流れ込む大量の海洋プラスチックごみは大きな環境問題となっている。さらに、それらが自然環境下で微細に破砕されたマイクロプラスチックは生態系に及ぼす影響も懸念されている。
こうした問題に対処するため、スズキは船外機がエンジン冷却用に大量の水をくみ上げながら走行し冷却後にその水を戻す構造であることに着目。戻り水用ホースに取り付け可能なフィルター式回収装置を開発した。これにより、走行するだけで水面付近のマイクロプラスチックを回収することが可能となった。
この装置は簡単な作業で取り付けることが可能な上、エンジン冷却後の戻り水を活用するため船外機の走行性能には影響しない。国内で実施したモニタリング調査では、フィルターに溜まった回収物に含まれるマイクロプラスチックを確認。すでにモニタリング調査は海外にも対象を広げて実施中で、スズキではさらに改良を重ねていくという。なお、この装置は2021年からオプション用品として設定、将来的には標準装備として取り扱うことも計画している。
スズキは、海洋プラスチックごみに焦点を当てた新たな取り組み、「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」を始動した。これは、これまで継続してきた水辺の清掃活動が2020年に10周年を迎えたことを機に、「私たちに今できること」、「スズキの船外機にできること」は何かを考え従来からの取り組みをさらに発展させる。このプロジェクトでは、回収装置の開発による船外機を利用したマイクロプラスチック回収のほか、以下の取り組みを進めていく計画だ。
■水辺の清掃活動を継続、海洋プラスチックごみを回収
スズキグループでは、船外機が使用される海、河川、湖沼で従業員とその家族によるボランティアの清掃活動を実施。2010年に浜松市で1回目の活動を開始し、2回目以降は「クリーンアップ・ザ・ワールド・キャンペーン」として世界各国に活動の輪を広げ、これまでに参加国は26カ国、参加者はのべ約8000人以上におよぶ。10周年となる2020年以降も、清掃活動を継続する。
■船外機や部品の梱包資材からプラスチックを削減
事業活動から生じるプラスチックごみを削減するため、スズキ船外機の製品梱包資材からのプラスチック削減に向けた取り組みを開始。2020年6月生産の一部製品の梱包に代替材料を試験的に採用し、市場評価の確認を進めている。スズキ船外機の純正部品についても、梱包資材に使われているポリエチレン製の袋やフィルム類の一部を紙製素材に置き換え、2020年10月より順次出荷を開始。これにより年間約2.3トンのプラスチックごみの削減を見込んでいる。
「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」の推進は、SDGs(持続可能な開発目標)が示す社会課題の解決に向けたスズキの具体的な取り組みであり、スズキ船外機がブランドスローガンに掲げる「THE ULTIMATE OUTBOARD MOTOR(究極の船外機)」を環境面においても追求していく姿勢を表すものという。