【国内試乗】「ポルシェ718スパイダー」自然吸気のフラット6が復活!

PORSCHE 718 SPYDER
島下泰久
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2020/09/21 12:00

タイプ987で登場したボクスタースパイダーはエアコンレスを標準とし、徹底的に軽量化を図ったモデルだった。2代目となるタイプ981のボクスタースパイダーでは幌の開閉が一部電動化し、エアコンも標準装備とされた。では、その最新モデルとなる718スパイダーは、どんな進化を遂げているのか。そして、その走りは?

今回から開発の管轄が911GT3と同じ

スポーツドライビングの歓びには様々な形がある。サーキットでマシンと、コースと、己と向き合いタイムを削り取っていくストイックな快楽もあれば、週末の朝に早起きして海沿いの、あるいは山間のワインディングロードを、はたまた目覚める前の都心を、いつもより少しだけ速いペースで駆けぬける……なんていうのも、やはり堪らないひと時といえるだろう。

PORSCHE 718 SPYDER

4L水平対向6気筒エンジンは先代モデルを45ps上回る420ps発生。420Nmの最大トルクは5000~6800rpmで発生する。0→100km/h加速タイムは4.4秒。

ポルシェ718シリーズの頂点として設定された2台は、まさにこのふたつのシーンをカバーする存在だ。718ケイマンGT4は、まさに前者を見据えた1台。そして後者に相応しいのが、簡易型のソフトトップを備えたオープンボディを持つ718スパイダーだ。

PORSCHE 718 SPYDER

718スパイダーは軽量のソフトトップを採用。ロックのみ電動であとは手動で開閉する。折り畳み式のトップは数ステップでトランクリッドの下に収納が可能だ。

車名からボクスターが取れたこの718スパイダーだが、変わったのは名前だけではない。今回から開発の管轄が911GT3や718ケイマンGT4などと同様のGTモデルラインに移されたことも大きなトピックだ。よってそのハードウェアは基本的に718ケイマンGT4に準ずる。

PORSCHE 718 SPYDER

フラット6のレスポンスの良さは右足の動きに直結しているかのようだ。

誰もがまず注目するのが新開発の水平対向6気筒4L自然吸気エンジンだろう。718シリーズとなって4気筒ターボユニットを搭載していたミッドシップモデルに、まさかの6気筒自然吸気エンジンが復活したのは、欧州の燃費計測モードが変わりターボエンジンのメリットが以前より薄れたことが大きいという。それを見据えてポルシェは、こうして新開発エンジンを仕込んでいたわけだ。

PORSCHE 718 SPYDER

シャシーはよりダイレクトにするためにボールジョイントを採用。30mm車高をローダウンするPASMは車両の重心を下げ、コーナリング性能を向上させている。

最高許容回転数8000rpmのこのエンジンは、718ケイマンGT4と同じく最高出力420ps.、最大トルク420Nmを発生する。トランスミッションは潔く6速MTのみとされる。
このエンジンだけでなくシャシーも718ケイマンGT4と完全に共通化されている。911GT3譲りのフロントサスペンションを使い、リアもサブフレーム、アーム類などほとんどのパーツを刷新。スプリングレートまで共通とのことだが、なるほど車検証上の車重は両車とも1450kgで揃っている。軽量設計の賜物である。

PORSCHE 718 SPYDER

718スパイダーは軽量かつ高剛性を誇る20インチ軽合金製ホイールを装備。鋳鉄製のものに比べ重量が5割ほど軽くなる。

こちらもフットワークに大きな影響を及ぼしているのが空力性能の改善だ。マフラーサイレンサーの形状を工夫することでリアにディフューザーを設けることが可能となり、空力による挙動安定化を実現しているのだ。なお、固定式大型リアウイングを持つ718ケイマンGT4に対して、可動式スポイラーを備える718スパイダーは絶対的なダウンフォース量が少なく、それに合わせてフロントリップは若干短くされている。

PORSCHE 718 SPYDER

ピュアなドライビングプレジャーを味わえるような雰囲気を醸し出すインテリア。ドライバーと助手席にはスポーツシートが標準で、カーボン製のバケットシートも選択可能。ドア内側の開閉ノブは簡素なベルト式だ。

黒、赤の2色から選べるソフトトップは最初と最後のロックだけが電動で、あとは手動。しかも開閉には一旦車外に出る必要がある。オープン状態ではリアフードに備わるパワーバルジのような盛り上がりが、クローズ時にも後方に足が伸びた薄いソフトトップが、718ボクスターとは別物の強いアピールポイントだ。

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ルボラン2020年10月号より転載
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