【比較試乗】「アバルト 595 コンペティツィオーネ vs フォルクスワーゲン アップ! GTI vs ミニ・ジョン・クーパー・ワークス」最新ホットハッチの松・竹・梅とは?

スポーツモードで激変!! まるでポパイなJCW

そういった意味では、ミニ・ジョン・クーパー・ワークスの完成度は真逆というほかない。“BMW仕込みのニュル仕上げ”というだけに、基本は真面目。だが、それを意図的に、しかも過剰なまでに“やんちゃ仕様”に仕立てているテクニックは褒めてやりたいほど。ウリ文句にもなっているゴーカート感覚は、従来のミニにも増して強調され、とにかくクイックなハンドリングで乗り手を楽しませるのも相変わらずだが、JCWに積まれる2L直4ターボエンジンは、231ps&320Nmを誇るだけに、時にトルクステアの洗礼を受ける。こちらの試乗車も6速MTということもあり、すべてにおいて“操っている感”が得られて嬉しくなってきた。

MINI JOHN COOPER WORKS.

MINI JOHN COOPER WORKS./所々に往年のミニを思わせるセンスは見事。その一方、太めのステアリングや操作性に優れた6速MTなどはドイツ仕込みだけのことはあると納得できる。他の2台よりも圧倒的に高級かつ上質で、価格に見合った内容だ。

そして、JCWで特筆すべきは、ドライブモードの激変ぶり。センターコンソールに設けられたレバ―を上げてスポーツモードを選択すると……。とにかく負ける気がしない。相手が跳ね馬だろうと、猛牛だろうと「やったろうじゃねーか!」という気合がドライバーに注入される。その高揚感はまさにターボによる効果だが、まるでほうれん草を与えられた後のポパイにでもなったかのごとく、力が漲ってくる印象だ。しかも多少、乱暴に扱ってもトラクションコントロールが優秀だから破綻する気配すら見せない。ただ、足は硬いし、ロールも抑えられているから乗り心地はけっして褒められたレベルにない。だが、それが逆に“その気にさせる”理由でもある。

MINI JOHN COOPER WORKS.

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一方、グリーンモードでは、アクセルのツキが緩くなり、街乗りで扱いやすくなるから、このキャラ変は秀逸だ。それでも足の硬さは否めないレベルだが、苦になるほどではないから、かろうじて許してやりたくなる。

MINI JOHN COOPER WORKS.

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と、個性派3台を一気に乗ってみたものの、どれもユニークで惹かれるものがあるのは確か。パワー値も価格も“松・竹・梅”と並ぶはいえ、自分のお財布と向き合って選んで後悔しないと思う。しかし、up!GTIのみ在庫限りとのこと。これはこれで、もっとも身近で“付き合いやすいホット”だから、余裕をもって手に入れ、あとはガソリン代に費やすのも悪くないのでは? 小さなクルマで熱く走りまくるほうが楽しいに決まっているんだから……。

MINI JOHN COOPER WORKS.

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リポート=野口 優/M.Noguchi フォト=篠原晃一/K.Shinohara ルボラン2020年9月号より転載

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