Chapter 04 GROUP TEST DRIVE/その真価と魅力の源を探る!
新型3シリーズが導入されたことで、ミドルクラスセダンの勢力図がまた大きく塗り替えられることになった。ラストはライバル2台と比較して3シリーズの実力を明確にしてみよう。
好みに合わせて選べる味わい深いキャラクター
2020年5月、この原稿を書いている段階で東京都は緊急事態宣言が発出されたまま。そんなときこそ、各ブランドの公式ホームページによるオンラインのクルマ選びが楽しみのひとつになる。
さて、プレミアム系Dセグメントのセダンは、3シリーズ、Cクラス、A4がドイツ勢では盤石の地位を守り続けている。3シリーズの日本市場上陸は2019年であり、Cクラスは2014年でA4は2016年と投入次期に差があるものの継続的な進化をしているので機能的な差は大きすぎない。
そんな中でも注目できるのは、3シリーズであればスポーツセダンとしての価値を際立たせる330i(M340iは別格)だ。ファスト ・ トラック ・ パッケージにはディファレンシャルの差動制限を可変制御するMスポーツ・ディファレンシャルが含まれ、コーナー進入時にステアリング操作に対して意のままに曲がる。さらにコーナー脱出時はアクセル操作に対して優れた安定性とトラクション性能が発揮される。
Cクラスは、2018年にビッグチェンジを実施。C200が積む1.5Lの直列4気筒ターボエンジンにスターターを兼ねたベルト駆動のモーターを組み合わせ新世代のマイルドハイブリッドは、高効率化と高性能化を両立したパワーユニットとして注目できる。
アイドリング停止状態からのエンジン始動が極めてスムーズであり、直後にスターターはモーターに役割を変え発進時のエンジンをアシスト。モーターは瞬時にトルクを立ち上げるのでエンジンはターボのタイムラグをやり過ごせるだけにトルク重視の過給設定を実現。アクセルを踏み込むと、中回転域にかけて排気量から期待する以上に力強さが盛り上がる。
A4は、2019年にフェイスリフトを実施しグレード名も変更した。3シリーズと同様にスポーツセダンとしてのイメージが強いだけに45TFSIクワトロであれば330iと対峙できる。2Lの直列4気筒ターボエンジンも、性能としては直近まで迫る。
しかも、このエンジンはアクセル操作に対する応答性が鋭く低いギアなら高回転域まで一気に吹け上がる。さらに、中回転域までは迫力あるエンジン音が高回転域では少し硬質なまさにサウンドとなりパワーの伸びを臨場感タップリに伝えてくれる。なにしろ、ポルシェの主力SUVであるマカンにも供給されるエンジンなのだ。
それでいて、シャシーを含め走りの洗練度が高い。サスペンションは330iほど締め上げられた感じがなく、ステアリングの切れ味も軽めのスッキリ系だ。330iだけではなく3シリーズは、ステアリングの手応えを最近のBMWとしてはやや重めのシッカリ系であり走り重視のキャラクターが実感しやすい設定となる。
C200は、ステアリングの切れ味がビッグチェンジ前はスッキリ系だった。ところが、なぜか少しばかりマッタリ系に変わってしまった。ただ、サスペンションの設定も緩めだ。そのため、ラグジャリーセダンとしてのキャラクターへの期待も高いモデルだけにイメージには似合いといえる。
いずれにしろ、3モデルのキャラクターは味わい深い。みなさんそれぞれの好みに合わせて選択しても、間違うことはないはずだ。