Chapter 02 POWERTRAIN/指向別パワートレイン選び
ガソリン、ディーゼル、PHVと、贅沢なことに3種類のパワートレインの選択肢を持つ3シリーズ。アナタは動力性能、燃費、官能性のどれを重視する?
超高性能エンジンありきで歴代の3シリーズを開発
1990年、3シリーズの2代目となるE36型がデビューした。当時、Dセグメントのクルマは多くが駆動方式をFRからFFに変更。国際試乗会に参加した際、スポークスマンに 「3シリーズをFFにすることを考えなかったのですか」と聞いてみた。すると、きっぱり「考えませんでした」 と。理由は、単なるFRへのこだわりではなく「超高性能エンジンを搭載する前提がありFFではそれが困難なので」 とのことだった。
まだ、現行のG20型M3は投入されていない。だが、X3Mが積む新世代エンジンが搭載されるはずなので500psを超えることは確実だ。すでに、M340iは3Lの直列6気筒ターボエンジンを搭載し387psを発揮。最大トルクは500Nmに達し、この数値は5代目のE90型M3が積む4LのV型8気筒エンジンの400Nmを大きく超えている。
実際に、アクセルを踏み続けると近年の一般的な直噴ターボエンジンとは異なる特性が確かめられる。低中回域のトルクが充実しているのは当然として、高回転域にかけてパワーがすこぶる伸びる。しかも、エンジン音がクォーンからコーンという感じで7000rpmの迫るほどクリアになるので刺激の臨場感が高いのだ。
エンジンの高性能ぶりは、330iが積む2Lの直列4気筒ターボでも実感できる。アクセルを少し踏むだけで、1000rpm台でもメーター内のモニターによると最大トルクの400Nmに迫ってくる。力強さが際限なく溢れ出すかのようで、エンジンが“もっとアクセルを踏み込め”と誘いかけているかのようでもある。
実際にそうすると、低周波を強調した迫力あるエンジン音とともに吹け上がりの勢いが増し、爆発力の大きさを知らしめる鼓動を刻み始める。そして、高回転域ではそれが連続音に変わる。8速ATをDレンジにしたままでも、メーター内ではオレンジ色の針が6500rpmから始まるレッドゾーンを切り裂き6700rpmでシフトアップ。この間、2速で90km/hあたりなので高速道路の本線合流などでもドラマチックなエンジン特性が楽しめるわけだ。
320iが積む2Lの直列4気筒ターボエンジンは、いわば330i用の控えめ仕様でありトルクから回転数によりパワーを稼ぎ出す特性もそのままだ。日常的な場面では、いつでも力強さの余裕が得られるだけに満足度が高い。
注目できるのは、330eが積むパワーユニットだ。2Lの直列4気筒ターボにモーターを組み合わせ、外部電源による充電が可能なプラグインハイブリッドだがアクセルを踏み込むと330iに並び刺激的な加速が楽しめる。それでいて、モーターのみによる走行距離は50kmに迫る。
320dが積む2Lの直列4気筒ディーゼルターボは、パワーとトルクが320iを超える。低圧用と高圧用のターボを組み合わせるだけに、回転域を問わずアクセルの踏み加減で望むままの力強さを引き出せることが魅力だ。