いま巷で、密かなブームを巻き起こしているヤングタイマー。ここでは、人気モータージャーナリストの島下泰久が、ちょっと古いクルマを通して、コンディションを整えていく過程や、その道の達人と出会い語ることで、すべてのヤングタイマーを愛するクルマ好きに向けて情報発信をしていく、というもの。さて、今回は外装に手を入れていきます。ビックバンパーをノーマルバンパーに戻す編その1!
※こちらの記事はル・ボラン2018年8月号に掲載されていたものを転機したものです。
○月×日スモールバンパーってなぜかぶつける(笑)
前回、走りに関わる部分に手を入れて「新車の頃って、きっとこうだったんじゃない?」と思わせる軽快な走りっぷりを取り戻した私の………いや私名義の1990年式ゴルフIICLi。今回は、いよいよ外装の仕上げに入ります。
このゴルフ、前オーナーが後期型用のいわゆるビッグバンパーとフェンダーアーチモールを装着していました。手間もかかることですし、このまま仕上げることも考えましたが、機関の素晴らしい仕上がりを味わった私は、スピニングガレージ代表の田中サンを「これは初期化しないわけにはいかないでしょう!」と半ば恫喝。見事、スモールバンパーの前期型本来の姿に戻すという言質を取り付けたのです(フィクションです)。
スタッフの中西サン曰く「スモールバンパーの方が、なぜかぶつける人が多いんです」という怪現象(笑)のおかげで、部品探しは難儀しましたが、幸いフロントバンパーをすぐに発見。リアバンパーも、スタッフの田邊サンが、白くなってはいてもぶつけてはいない美品を出してきてくれました。
では、車両側の部品の取り外しを……と思ったら田邊サン、おもむろにオートグリムの“バンパーアンド トリム ジェル”を取り出し、バンパーに塗り込み始めました。白くなっていた部分が、みるみるしっとりとしたブラックへと戻っていきます。「この時間が大好きなんですよねぇ」と、田邊サン。半ば撮影も忘れて作業に没入しています………。
実はフロントバンパーはワックスが垂れて、ジェルのノリが良くない状態だったそう。そこで田邊サン、撮影前に脱脂して待っていてくださったのだとか。「いやあ、コレはいい! ボクが欲しいくらいですよ」って、完全にヘンタイですね(ホメてます)。
続いて、いま装着されているバンパー、フェンダーアーチモールを外します。前後バンパーは普通にボルト&ナット留めなので、脱着は難しくはありません。
「キレイですね。実はフェンダー前端に穴が開いているクルマも少なくないんです。それを隠すためにビッグバンパーを付けるのもあるくらいで。穴が開いていたら面倒なので、コワくて一瞬、目をそらしてしまいました(笑)」
フェンダーアーチモールはリベット留め。ドリルでリベットを壊して外していきます。
「左リアはキレイですね。ちゃんと塗装して装着しています。でもフェンダーの後方にヘコみがありますね。スモールバンパーにしたら見えちゃうかな。右リア……あっ、サビありましたよ!」
本当だ、サビてる! って、何でお互い嬉しそうなんだという話ですが、このクルマ、拍子抜けするほど状態が良くて。多少サビくらいないと……って、やっぱりヘンタイですね(ホメて…ます)。
「右フロントは、ちょっと凹みがありますね。左フロントは……あれ? 取れない! コレ、ゴムみたいなものでつけてありますね。リベット打ちも失敗しているし」
写真の通り左フロントのフェンダーアーチモールは、ゴムのような粘着質のものでベッタリと貼り付けられていました。これは、どのみち板金塗装が必要ですね。
「左サイドの他はきれいですし、丸々塗ってあるのかもしれません。一度、板金しているのかな」
とりあえず、スモールバンパーを仮組み。うん、いい感じです。現状で程度が今イチなのは、むしろ右側。えくぼがいくつかあり、線キズも無数に入ってしまっています。悩ましいところですが、さて田中サン、どうしましょう?
「うーん、ここまでやりましたし板金に出しましょう!」
やったーっ! というわけで、次回は美しくお化粧直しした姿、お見せできそうです!!
取材協力:スピニングガレージ ☎ 042-780-8198
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