【海外試乗】「シボレー・コルベット」8世代目を機に全面刷新!

新しいシャシーはまさに余裕綽々

右ハンドル仕様も用意されるというC8は、乗降性にも一切の癖はない。ただしサイドインテークとノブを兼ねた造形のドアの厚みが、狭い場所でのアクセスに影響しそうという懸念はある。

シボレーとして初となる右ハンドル仕様のコクピットがこちら。3月31日までの期間限定でプレオーダーキャンペーンを実施中だ。

特徴的なスイッチレイアウトの内装ではあるが、操作自体にトリッキーなことはなく、収まってしまえば慣れるのは早かった。上下をフラットにデザインしたステアリングによってHUDの視認性は大きく向上、計器類やインフォテインメントのグラフィックも明快で直感性も高い。何より、キャブフォワード&ローカウル化によって得られた前方視界の良さ、フェンダーの峰が示す車幅感覚の掴みやすさはこのデザインの美点だろう。ただし、後方の直接視界は見た目の通りで相当に厳しい。

運転席を独立させるかのような造形のコクピット。

C8のタウンライドでともあれ驚かされるのは乗り心地の良さだ。とりわけスポーティなZ51パッケージでさえ、凹凸や段差などのアタリは至って丸く、轍や大きなうねりなどに遭遇しても進路を乱されることもない。懸架方式の変更もあって、コルベットの癖ともいえたロール方向の小さな揺れも激減しフラットなライド感をみせてくれる。ドライブモードがツアーであれば、スポーツサルーンもかくやの柔軟性をみせてくれるという印象だ。

センターコンソールの助手席側に縦一線にスイッチ類が並ぶ。

まったく新しいパッケージ、そしてシャシーはエンジンパワーを余裕綽々で受け止め、件のトラクション不足を感じる場面はほとんどない。仮に駆動輪がブレークする状況でもESCが素早く介入し、先代とはレベルの違うボディコントロールをみせてくれる。

あまりにも安定しているがゆえに遅くさえ感じるが、Gメーターを確認すれば1.3G程度の旋回でも後輪側はどっしりと粘っていて破綻の兆候も伺わせない。そこからの滑り出しもミッドシップとしてはかなり穏やかで、修正の応答も優しい。ムービングパーツを下方に置いたコンパクトなOHVをドライサンプで積めば、ここまで低重心なパッケージに仕上げられるものかと感心させられる。

センターコンソールの助手席側に縦一線にスイッチ類が並ぶ。

そしてコルベットらしさを思い切り感じさせるのもまた、このスモールブロックV8が奏でる独特のメカニカルサウンドやエキゾーストノートだ。高回転域だけではなく低回転域にも十分な旨味がある、このエンジンがあってこそ、C8が自らの出自や個性を鮮明に示せるのだと実感させられた。

フォト=ゼネラルモーターズ・ジャパン/GENERAL MOTORS JAPAN ルボラン2020年5月号より転載

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