カイエンと差別化する多彩なクーペ専用装備
ドアを開けてまず運転席に乗り込むと、確かに言われてみればドライビングポジション、より低くしっくりと来る感じがする。では後席はといえば、3人掛けシートの場合でも大人2名には十分なスペースがあるし、短時間なら中央席に座るのも十分許容できそうと感じた。しかも、標準装備となるパノラマガラスルーフのおかげで視界も開けているから、閉塞感を抱くこともないはずだ。なお念のため、直射日光を防ぐローラーブラインドも標準装備である。
走りの印象は、率直に言って慣れ親しんだカイエンとの違い、ほとんどない。前述の通り着座位置が下がっていることから、クルマとの一体感が高まっている感は確実にあるものの、優れた乗り心地にしても高い快適性にしても、明らかな差はないと言っていい。
実際にはリアトレッドが拡大されており、またリアゲートの開口部は大きく、その複雑なリンク機構のおかげで重心から遠い位置で重さが増しているといった事情で、標準装備となるPASMのセッティング変更、アンチロールバー径の拡大などが行われているというのが、昨春に参加した国際試乗会で聞いた開発者の弁である。要するに、それは違いをもたらすためではなく、違わないようにするためだということだろう。
エンジンラインナップもカイエンと共通。試乗車は最高出力340ps、最大トルク450NmのV型6気筒3Lターボエンジンを搭載する。そのパワー、トルクに不満はなく、日常使いにはもちろんクーペらしく活発に走らせようという場面でも、十分楽しませてくれる。しかも試乗車はオプションのスポーツエグゾーストシステム付きだったから、小気味良いサウンドも満喫できた。
近頃のポルシェは何でもかんでもオプションということがなくなり、このカイエンクーペも標準で車線変更時に後方から接近する車両の存在を警告するレーンチェンジアシストやアダプティブクルーズコントロール、サラウンドビュー付きパークアシストにLEDヘッドライト等々は最初から標準。スポーツクロノパッケージも備わるなら、ほとんど素の状態でも、まずまず満足できそうだ。
一方でクーペには専用オプションとしてライトウェイトスポーツパッケージが設定されている。これはカーボンルーフ、22インチGTデザインホイール、スポーツデザインパッケージに、ブラックレザーと千鳥格子のファブリックを組み合わせたシート、アルカンターラのトリムなどをセットにしたもので、とりわけ20kg以上も軽くなるというルーフは当然走りに大きく影響する。後席は2名掛けのみとなるから、クーペらしく走りや見た目に一層の重きを置く人向けの装備となるが、筆者はこれ、ぜひ選びたい。
ベースグレード同士の比較だと、カイエンとの価格差は100万円を少し超えるが、PASMやスポーツクロノパッケージ、パノラマガラスルーフなどが追加されていることを加味すれば、その差はもっと小さいと考えていい。実際、ターボS Eハイブリッド同士では価格差は50万円ほどとなる。
この価格差に現在のトレンド、スタイリッシュな存在感、犠牲となっていない走りや快適性などを考えれば、今後はカイエンの販売の少なくない一定数がクーペになるのは間違いないだろう。この華やかな姿と街ですれ違う機会、もっともっと多くなるに違いない。
■関連記事
- 「北京モーターショー2024」をポルシェが席巻!? 「タイカン」と「マカン」でワールドプレミアを飾る
- 本誌執筆陣がオススメするいま注目のモデルをピックアップ!「このクルマ、間違いないです!」ル・ボラン2024年6月号、本日発売!!
関連記事
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業電話ラッシュをなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>