“MBA”の話題のコンセプトカーを振り返る、市販化が期待されるも輝いて消えたクルマたち

アウディから発表された作品は多いが……

そんな両者に対し、中間的立ち位置を感じさせるのはアウディ。実は近年で発表されたコンセプトカーのバリエーションは3強でも最多。作りも市販車として通用しそうなものばかりなのだが、現実に商品化されるケースはむしろ少ない。そうした手法には、メルセデスとBMWという巨頭に対峙するアウディらしいしたたかさがうかがえて面白い。

NANUK QUATTRO CONCEPT/ナヌーク・クワトロコンセプト

2013年のフランクフルト・ショーに登場したスポーツカーとSUVのクロスオーバー。開発にはカーデザイン界の巨匠、ジウジアーロが率いたイタルデザインも携わった。ミッドシップに搭載されるパワーユニットは544psを発揮する5LのV10ディーゼルで、最高速は300km/hオーバーと発表された。

SPORT QUATTRO CONCEPT/スポーツ・クワトロコンセプト

2010年のe-tronコンセプトやクワトロコンセプトの流れを汲むモデルで、デビューは2013年のフランクフルト・ショー。その外観は現在のA5クーペを彷彿とさせる。パワートレインは、4LV8ツインターボに電気モーターを組み合わせたプラグイン・ハイブリッドで、システムの出力は700psに達した。

TT SPORTBACK CONCEPT/TTスポーツバック・コンセプト

2014年のパリ・サロンで発表された、TTクーペのスポーツバック。実質2シーターなTTクーペの5ドア版というと強引なイメージだが、実車の佇まいはご覧の通り。4ドアクーペが当たり前の時代であることを思うと「アリなのでは?」と思わせる出来映えだ。エンジンは2Lの直噴ターボを搭載していた。

CROSS CABRIOLET QUATTRO CONCEPT/クロスカブリオレ・クワトロコンセプト

オープンモデルとSUVのクロスオーバー、というと市販車では先代レンジローバー・イヴォークが記憶に新しいが、こちらは2007年のLAショーで発表。搭載するパワーユニットは3Lディーゼルターボで、駆動はもちろん4WDのクワトロ。現実的な作り込みだったが、さすがに市販化とはいかなかった。

AVANTISSIMO/アヴァンティッシモ

スタイリッシュなワゴンとして定評ある「アバント」を擁するアウディの作らしいコンセプトカー。デザインを手がけたのは当時アウディに籍を置いていた日本人デザイナーの和田智氏で、ボディは全長が5mを超えるA8級。搭載するパワーユニットは430psと813Nmを発揮する4.2LのV8ツインターボ。

 

ル・ボラン2020年2月号より転載

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