SUPER GT勢がリベンジを果たす
週末にかけて不安定な天候となったプラクティスでは、限られた時間の中でSUPER GT勢はワンメイクとなるハンコックタイヤの設定を探り、一方のDTM勢は慣れないコースの攻略法を探る。それゆえ、ハンコックの経験値が高いDTMが有利かと思われたが、可変ウイングの「DRS(ドラッグ・リダクション・システム)」と一時的にパワーアップできる「プッシュ・トゥ・パス」機能を封印されたことから、ロングストレートの伸びではウエイトハンデのないSUPER GT勢にアドバンテージがあった。
土曜日の午前にウェット路面で行われた20分間の予選では、トムス・レクサスLC500のニック・キャシディがポールポジションを獲得する。10月のホッケンハイムではフリー走行でマシンを破損し、決勝ではコースから押し出されてリタイアと散々な結果だっただけに表情は明るい。続くフロントロウ2番手はコースもレースもマシン/タイヤもすべてを熟知しているロイック・デュバルのアウディRS 5。セカンドロウがレイブリックNSX(山本尚貴)とニスモGT-R(クインタレッリ)となったのは、ドイツ交流戦での苦い経験が生きたといえる。
そして予選同日の午後2時半から決勝レース1となるわけだが、小雨まじりのフォーメーションラップで、なんとアウディ大本命のデュバルがコースアウトしてそのまま出走不能となり、2番グリッドが空席のままインディ式ローリングスタートで55分+1ラップのハイスピードバトルがはじまった。隊列を巧みにコントロールしたレクサスのキャシディを先頭に、3、4ワイドで第一コーナーに突入していく圧巻のシーンは、タイトルが懸かったシリーズ戦に匹敵するガチンコぶりだ。
序盤からのハイペースで後続を置き去りにするキャシディの後ろでは、NSXの塚越広大と山本尚貴が、その後ろはLC500の坪井 翔と山下健太がサイドバイサイドの攻防戦を繰り広げて場内を沸かせる。序盤からGT-R勢がじりじりと後退する間にアウディの王者レネ・ラストと熟練のブノワ・トレルイエがポジションを上げていく一方、BMW勢は小林可夢偉が中段グループの後ろで、エースのマルコ・ヴィットマンはさらに後方でまったく波に乗れず、アレッサンドロ・ザナルディはマシントラブルでリタイア。
レース中盤以降には全マシンが規定のピットストップとタイヤ交換を消化するもポジションに大きな変化はなく、レクサスのニック・キャシディが逃げ切ってホッケンハイムの意趣返しを遂げ、塚越と山本のNSXも表彰台に。アウディのトレルイエが6位でDTM最高位となった。
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