【嶋田智之の月刊イタフラ】マニア心を刺激するアバルト70周年記念モデル

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歴史の深さとモアパフォーマンスが味わい深いぞ!

今月はちょいとイタリアへ行ってきました。そこでアバルト70周年を記念する世界1949台の限定車、〝695 70thアニヴァレウサリオ〟に軽く試乗をすることができました。

記念モデルだし、〝695〟を名乗るだけあって通常の595とはあれこれ仕立てが異なる特別なモデルなのですが、まず新鮮なのはアバルトにしては珍しいグリーンの車体色。用意される5色の中のひとつなのですが、新色だけど実は最初のアバルト500といえる1958年の速度記録車と同じ色。自らの歴史へのオマージュでもあるのです。これが絶妙にいい色合いを見せてるのですよ。

こちらが最初のアバルト500といえる、フィアット500エラボラツィオーネ・アバルト・レコルド。1958年にモンツァで6つの世界記録を打ち立てた最速モデルです。

で、グレイのエアダムやスカート、ルーフスポイラーはこの695専用のボディキットで、これは5色すべて共通のあつらえです。
注目すべきは専用に新開発されたルーフスポイラー。角度で60度、12段階の調整が可能で、最も立てた状態では200km/h走行時に42kgのダウンフォースを生み出す風洞生まれ。古の名車、1000TCRの水平まで開いたリアフードとか、アバルトが開発に噛んだランチア・デルタのルーフスポイラーを連想させます。

今回の試乗はイベント会場の特設コースと一般道で速度域は低かったのですが、3速全開からアクセルオフで軽く減速して進入するコーナーがひとつあって、そこでは通常の595よりもリアが安定してるような気配が感じられました。もっと速度域が上がると、効き目はハッキリ判るでしょうね。

パワートレインやシャシーは595コンペティツィオーネと共通。特別じゃないじゃん! と思う人もいるでしょうけど、僕はこれ、とてもアバルトらしい選択だと思うのです。だってアバルトって乗りにくいロードカーをよしとしたことがないのですよ。コンペのチューニングって、結構キワキワまで攻めてますからね。それに速さも楽しさも充分以上ですし。
日本導入については現段階では未定ですが、まぁ間違いなく上陸することになるでしょうね。

 

ル・ボラン2019年12月号より転載

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