![](https://carsmeet.jp/wp-content/uploads/2019/10/CN481_P134_01-1024x683.jpg)
小さな断片から自動車史の広大な世界を管見するこのコーナー。今回は、イギリスのごく初期のプラモデルメーカーであるメリットの、各モデルを眺めながら往時のレースに思いを馳せる機会としたい。
原初であり、完璧なプラモデル
メリットとの初めての出会いは、海外ではなく、横浜で催されているおもちゃのスワップミート、ワンダーランドマーケットでのことだった。ロータス11にしても、ジャガーDタイプにしても、アストンマーティンDB3Sにしても、クーパーMk-Ⅸにしても、そのプロポーションとディテールが美しく、すぐに虜になってしまったものだ。
模型に対する表現としては、おかしな言い方だが、本物のオーラが感じられたのである。ジャガーDタイプならば、リンドバーグや初期のタミヤのキットなどがあるが、それらは、単にそれらしく作られたモデルとしてしか認識されないものなのに、メリットのモデルからは、なにかしら畏敬に近い魅力を感じた。
それは最近のミニカーが精密ではあるけれど、単に商品、むしろ記号とか情報としての役割しかないのと比べて、’50年代や’60年代のディンキーやコーギーがデフォルメされたおもちゃなのに、魅力的であることにも似ている。
そしてメリットの場合は、もっとマニアックな趣があるのだ。モデルとなったレーシングカーが、現役で走っている時代に作られたということもあるけれど、ディンキーやコーギーよりも、もっと玄人ぽい。さらに言えば、わかってるな、という雰囲気があるのだ。
それは、例えばメリットのラインナップのひとつであるロータス11を現代の優秀な模型メーカーが製作しても再現できないと思われる何かなのである。いかに精密であっても、現代の模型は、私が感じるところでは、やはり情報や記号でしかないのだ……。
とはいえ、先にも述べたように1/43のミニカーによくあるような大胆にディフォルメされたおもちゃでもない。特にボディの面の再現性はかなりなものだと思う。よっぽど情熱的で優れた原型師がいたのではないだろうか?
メリットは趣味人やコレクターの国でもあるイギリスで生まれた。質の良い玩具を作り続けたJ&Lランダール社のブランドのひとつで、もうひとつのSELというブランドでは科学教材的なスチーム・エンジンや電池モーターや顕微鏡なども作っていた。志の高い、とても良心的な玩具メーカーだったと思われる。
メリットはプラモデルとしては黎明期の先駆的メーカーだったが、原初にしてすでに完成の領域に達していた。しかも、モデルの対象となった’40年代から’50年代のGPカーやスポーツカーの車種選定がまた素晴らしい。
今なお輝きが失せないレース史上最も偉大なクルマたちである。そういうわけで、メリットこそは私にとって唯一永遠のプラモデルなのである。
![](https://carsmeet.jp/wp-content/uploads/2019/10/CN481_P134_14-2.jpg)
先にも述べたようにタルボ・ラーゴとアルファロメオ158以外は12車種とも基本的に共通パターンの意匠の箱であり、横のシールを見なければ中身がどれかはわからない。当時はどんな陳列で販売されていたのだろうか。
■関連記事
- スーパーキャットのスーパーキットが業界のスーパー地殻変動を促して…【アメリカンカープラモ・クロニクル】第30回
- 出来上がりをとくとご覧あれ!フジミ製プラモ「プレリュードSi」を作り込む!第7回【CARSMEET モデルカー倶楽部】
関連記事
![](https://carsmeet.jp/wp-content/uploads/2024/06/cmw04kenmeri100-300x200.jpg)
インテリアも雰囲気たっぷりに完成!ハセガワ製「ケンメリGT-X」にエンジン搭載、DATSUN化!第4回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.06.25
![](https://carsmeet.jp/wp-content/uploads/2024/06/cmw86aoshima100-300x200.jpg)
作りやすさとリアリティがさらに向上! アオシマ、1/32楽プラ「トヨタ 86」をリニューアル【CARSMEET モデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.06.24
![](https://carsmeet.jp/wp-content/uploads/2024/06/cmw029acpckari1000-300x200.jpg)
Bigなキャンペーン、Bigなキット!amtの大いなる賭け、レベルの帰還、そして…【アメリカンカープラモ・クロニクル】第29回
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.06.22
![](https://carsmeet.jp/wp-content/uploads/2024/06/cmw12fiatetching100-300x200.jpg)
プラッツとイタレリのコラボで1/12プラモ「フィアット500F」がさらに魅力的に登場!【CARSMEET モデルカー倶楽部】
CARSMEET モデルカー俱楽部
2024.06.20
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業電話ラッシュをなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>