【国内試乗】「日産スカイライン」新たなドライビングプレジャーをアナタに!

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1957年の初代誕生から62年目を迎えた「スカイライン」。常にその時代の最先端の技術を採用し進化し続けてきたスポーティセダンは、今回新たに先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載し、「技術の日産」の新しい時代の幕開けを象徴するモデルとして登場した。

先進技術の頭出しはいつもスカイライン

老若男女を問わず、とりあえず車名だけは誰でも知っている日本車というのがいくつかあって、スカイラインもそのひとつだと思う。でも、スカイラインと聞いて矢沢永吉の顔はすぐに出てきても現行モデルの姿形が即座に思い浮かぶ人は多くないかもしれない。日常で見かける機会が少ない=売れていないからで、2018年には月販200台程度にまで落ち込んでいたという。スカイライン不振の理由はいくつか考えられる。とにかくセダンの売り上げが伸びない日本においては、何もスカイラインだけが落ち込んでいるわけではないけれど、いっぽうで2014年の発売以降、商品力が大幅に低下していたのも事実である。

リアには、スカイラインのアイコンである「丸目4灯リアコンビネーションランプ」を採用し、均一に光るLEDランプにより後続車にひと目でスカイラインとわかるデザインに。

加えて、いつの間にかスカイラインは主力の価格帯が500万円台という立派な高級車になっていた。その昔、トヨタとニッサンの戦いの構図では、クラウンのライバルはセドリック、カローラがサニー、そしてマークIIがスカイラインだったのに、いまではスカイラインの標的はクラウンになっている。いずれも、日本車では極めて稀有な存在となってしまった後輪駆動のセダンであるというのがなんとも感慨深い。
“新型”と謳っているが、今回はいわゆるマイナーチェンジである。デザインのディテールの刷新や、機能や機構や装備の改良が主な変更箇所となる。フロントグリル周りやテールランプの意匠が新しくなったのと同時に、前後に堂々と「NISSAN」のバッジが張り付いていた。

インテリアは、プレミアムスポーツセダンとしての機能性と質感を向上。ハイブリッド車には国内初採用のヘッドアップディスプレイをはじめ、プロパイロット2.0専用装備を採用。

メルセデス・ベンツ製2L直4ターボを搭載する仕様は姿を消し、エンジンはハイブリッドと3LのV6ターボの2種類に整理されている。ハイブリッドは従来型からの流用、V6ターボは「VR30DOTT」の型式名を持ち、北米仕様のスカイライン、つまりインフィニティQ50に2016年から採用されてきたユニットである。これに専用のチューニングを施し、405ps/475Nmを発生する”400R”も新規導入された。

同一車線内でハンズオフが可能となる先進運転支援技術「プロパイロット2.0」はハイブリッド車に標準装備。

「プロパイロット2.0」は最新鋭の運転支援機構で、一定の条件下でハンズオフが可能となる他、標識認識による設定速度変更など、将来の完全自動運転を見据えた技術が投入されている。これを実現できた理由のひとつが3D高精度地図データの併用。3眼カメラなども用いることで自車の正確な位置と周囲の状況を把握し、随時最適な対応をとるそうだ。確かに、ステアリングやペダルの操作はとてもスムーズかつほぼ完璧なタイミングであった。ただし、あくまでも自動運転レベル2での運用のため、すべての責任はドライバーにあるから、両手両足が自由になっても、運転に関する注意力や集中力までオフにはできない。

試乗は主にハイブリッドで行い、ごく短時間でV6ターボ(400Rは試乗車なし)も試した。ハイブリッドのほうが120kg重いため、スカイラインらしい軽快なハンドリングはV6ターボのほうが楽しめて、乗り心地もV6ターボのほうがよかった。

個人的に楽しみにしていたのは”DAS”の進化である。ダイレクト・アダプティブ・ステアリングはいわゆるフライバイワイヤーのステアリング機構だが、従来型は不自然さが顕著な上にステアリングフィールも悪く、改良の余地が残されていた。新型スカイラインのDASは、特に中高速域でのステアリングフィールが格段に改善された。依然として低速域で不自然さが残っているのは残念だったが、どこよりも早く実用化したニッサンにとって、ステアバイワイヤーのステアリングに関する知見と経験値は、将来に向けた貴重な財産となるだろう。完全自動運転では、ステアバイワイヤーは必須の技術だからである。「技術の日産」と呼ばれ、先進技術の頭出しはいつもスカイラインだった。その伝統は、いまもしっかりと受け継がれていた。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2019年11月号より転載

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2019/10/07 11:00

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