豪州とは浅からぬ縁のスカイライン
ハセガワ製のケンメリGT-Xをベースに、輸出仕様のダットサン240K GTを作ろうというこの企画、2回目ではエンジンパーツの移植・フィッティングについてお伝えしたが、今回はホイールの流用とシャシーの塗装・組み立てなどを行った。
【画像32枚】リアルな仕上がりにニンマリする足周り工作を見る!
工作の詳細については画像とそのキャプションを参照いただくとして、ここでは輸出仕様のスカイラインについてすこし触れておこう。と言っても、その詳細については分からないことが多く、以下述べることも断片的な情報でしかない点などはご寛恕いただきたい。
日本国内専用車というイメージの強いスカイラインだけに、1970年代から海外への輸出が行われていた事実は、あまり知られていない。プリンス時代はさておき、日産となってからのスカイラインは、GC10型の後期型で、小規模ながら輸出が始められていたようである。車名はスカイラインを名乗らずに「NISSAN(ニッサン)2400GT」。その名の通り、エンジンはL24が搭載されていた。
ボディは4ドア・セダンのみであったらしく、また後期型のフロントグリルを装着している点などは国内仕様と変わらないが、大きな違いはリアビューにあった。4気筒用の角型3連テールが装着されていたのである。このテールは国内仕様では赤一色だったが、ニッサン2400GTの場合、両端のレンズはオレンジ色となっていた。この2.4L版ハコスカは、ヨーロッパではオランダやフィンランドなどに輸出されたようだ。
意外にもグローバルに展開されたケンメリ
次のC110型系、いわゆるケンメリでは海外輸出も若干本格化したらしく、もう少し規模が大きくなったようである。エンジンは引き続きL24を搭載、車名は「DATSUN(ダットサン)240K」に変更されたが、これは他の輸出仕様の日産車と名付け方を共通化させたものだ。例えばサニーは「120Y」、バイオレットは「140J」「160J」、セドリックは「240C」「260C」といった具合であった(なお、このネーミングの法則は北米市場では採用されていない)。ケンメリはGTだけでなく4気筒モデルも輸出されており、そちらの車名は「160K」「180K」である。
海外仕様ケンメリはハコスカとは違ってボディ形式も増え、4ドア・セダンだけでなくバンや2ドア・ハードトップまでラインナップされた。もっとも、2ドアは6気筒車だけのようである。また、リア周りの形状は国内仕様と変わりなく、6気筒車は4ドア/2ドアともに円形テール、4気筒セダンは台形を上下3連に並べたテールであった。この海外仕様ケンメリは、オランダやベルギー、スイス、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどへと送り出されたようだ。
こうした輸出は次のC210型系まで続きそこで一旦終わったのだが、オーストラリアはスカイラインと相性が良かったのか、その後のR30、R31も販売が行われている。特にR31では「PINTARA(ピンターラ)」の名が与えられ、前後の灯火類のデザインも日本仕様とは大きく異なっていた。このピンターラは日本からの完成車の輸出ではなく現地生産モデルであり、その二代目はU12型ブルーバードへとスイッチしている。
さて、作例の制作は今回シャシー周りを終えたので、次回はインテリアの塗装や組み立て、ディテールアップとなる。お楽しみに。
※使用キット
ハセガワ1/24スケールプラモデル ニッサン スカイライン HT 2000GT-X (KGC110)
3,520円(税込)
ハセガワ公式サイト