【国内試乗】「BMW i3」未来を先取りした個性派、先進性を磨きつつ航続距離をアップ

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「駆けぬける歓び」から「持続可能なモビリティ」を目指すサブブランドを立ち上げ、巨額投資をともなう開発技術のすべてを注ぎ込んだBMWの電気自動車であるi3。未来を先取りしたシェイプが見慣れるほど熟成を重ねた今こそ手に入れるタイミングだ!

BMWならではの走りを電気自動車で見事に実現

エンジン屋のイメージが強いBMWだが、欧州でもっとも早くBEVへの取り組みを始め、しかもF1への参戦を取りやめて「i」と名付けられた電動車のサブブランドまで立ち上げるなど本気度が高い。2014年に登場したi3はバッテリーのために重くなりがちなBEVに対してカーボン素材などを用いて軽量化を果たし、生産過程で使用する電力を水力や風力でまかない、リサイクルにも力を入れている。全体でサステイナビリティに取り組んでいることは注目すべきことだろう。

CFRP製パッセンジャーセルに樹脂パネルを組み合わせたボディ。都市型EVコミューターに相応しい先進的なデザインといえる。

発売当初のモデルはバッテリー容量が22kW/hで車両重量は1195kgしかなかったので走りの軽快感が際立っていたが、最新モデルは42kW/hまで大容量化され車両重量は1320kgとなった。そのため初期モデルほどには軽量ボディの恩恵を感じないが、カタログデータではモーターの出力&トルクは変わっていないながらも、0→100km/h加速は初期の7.2秒からわずか0.1秒落ちの7.3秒なのだから驚く。航続距離は最新が360km(WLTC)と初期に比べればほぼ倍増だ。

アルミ合金製シャシーに内蔵するリチウムイオン電池の容量を30%拡大し、総電力量は42kWhに増加。レンジエクステンダー装備車では466kmの航続距離を実現した。

実際にi3は低速からキビキビと加速するような場面で光り輝く。RRということもあってトラクションの強さが感じられ、モーター走行の楽しさが強調されるのだ。回生が強く、あまりブレーキを踏む必要がないワンペダルフィーリングも含め、BEVならではの駆け抜ける歓びが存分に味わえるi3。BMWもBEVの車種を増やす構えを見せているが、日本では人気のあるREX(航続距離延長用エンジン)付きはなくなってしまうという噂もある。贅沢な素材で仕立てられ、成熟の域に達したi3を狙うならいまのうちかもしれない。

フォト=河野敦樹/A.Kawano ル・ボラン2019年10月号より転載

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