ドライブフィールはメルセデスらしく上品に
日本仕様に用意されたエンジンは、B180が搭載する1.4LガソリンターボとB200d用の2Lディーゼルターボの2タイプ。組み合わせるトランスミッションは前者が7速DCT、後者は8速DCTとなる。今回試乗したのはベーシックなB180だったが、走りはこのクラスのモノスペースとして満足できるものだった。
B180のエンジンは、独自のデルタ形シリンダーヘッドを採用して軽量、省スペース化が図られた1.4Lガソリンターボ。その走りは、メルセデスに相応しい品の良さが魅力。
先代のB180比で排気量を落とす一方、出力が14ps向上している4気筒ターボは品の良さを感じさせるパワーキャラクターが持ち味。同クラスのダウンサイジングターボと比較すると、走る環境によっては繊細に過ぎる場面もあるが、特に日常域ではメルセデスに相応しい質感と静粛性が得られていることが好ましい。また、導入初期のAクラスでは制御の粗さが指摘されたというDCTも試乗車に限れば高効率ぶりとスムーズな変速マナーを披露。最大トルクの発生回転域が先代比で多少だが狭くなった(最大値は200Nmで同じ)ことも意識させない。
写真はオプションのAMGレザーエクスクルーシブパッケージ装着車で、シート表皮は本革の2トーンに。写真のグレー/ブラックのほかにレッド/ブラックも選べる。
試乗車はAMGライン装着車ということで、足回りは標準より1インチ大径の18インチホイールやスポーツサスペンションが装備されていたが、乗り心地は普段使いのコンパクトカーとして納得できる仕上がり。標準より車高が15mm低く、なおかつタイヤが太くロープロファイル化されるだけに路面からの入力を正直に拾う傾向はある。しかし、入力のカドは丸められているので意識はしても不快なほどではない。加えて、それを受け止めるボディがしっかりしているので乗り心地は硬いというよりスッキリと軽快な印象すらある。今回は短時間ながら後席で移動する機会もあったのだが、現状なら長時間の移動も苦にならないという印象だった。どっしりと腰の据わった伝統的メルセデスライドとは趣が異なるが、絶対値としての快適性は上々といえる。
10.25インチの高精細ワイドディスプレイを並べる基本レイアウトはAクラスと同じだが、Bクラスではインパネの中央と助手席側上部を凹形状として室内の広さ感を演出。対話型インターフェイスのMBUXも装備。
この種のモデルにスポーツ性を期待する人は少ないはずだが、新しいBクラスはそうした要求にもしっかり応えてくれる。先代でもすでにハンドリングはナチュラルだったが、新型ではそれに一層の磨きがかかって、多少飛ばすという程度なら背の高さを意識させることはない。さすがにベースとなったAクラスほど軽快とはいかないが、4輪ともに接地感の確かな仕立てなので積極的に走らせた際の安心感も高い。
スクエアな形状の荷室は通常時でも455L、後席を完全に畳めば1540Lの容量を確保。後席は40:20:40の分割可倒式なのでフレキシブルな使い方が可能だ。
発売から最初の1カ月ですでに600台を超えるオーダーを受けているという新型Bクラス。その隙のない作りが、先代オーナーだけでなく幅広い層に魅力的に映ることは間違いなさそうだ。