ドイツ勢が電動化を一段と推進

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BMWは2023年までに25車種を投入。ポルシェは日本に150kW充電器を設置

ドイツメーカーの電動化推進がより鮮明となってきた。まずフォルクスワーゲンは主力マーケットである中国において、2035 年までに電気自動車(EV)の比率を50%まで高める計画を打ち出した。政府が自ら電動化の旗を振る中国だけに、マーケットでの主導権を握るにはある程度ドラスティックな宣言も必要だが、50%となると軽く200万台は超える計算となり、EVブランドであるI.D.およびEVプラットフォームのMEBを核に電動化をリードしていく考えのようだ。
BMWもここにきて電動化を早める姿勢を見せ、25車種のEVおよびPHEVの投入時期を当初計画の2025年から2023年へ前倒しすると明言。その半数以上がEVだというが、一方で普及しやすいPHEVにも意欲を見せており、3シリーズに加えてX1にもPHEVを設定するなど、より身近な電動車両を提供していく構えだ。
またBMWらしいEVの試作モデルを「Power BEV」の名で公開。5シリーズセダンをベースにフロント1モーター、リア左右2モーターのパワーユニットを搭載し、換算出力は720hpとM5コンペティションを上回り、0→100km/h加速は3.3秒のハイパフォーマンスを実現している。その半面、モーター回りには高価なレアアース(希少金属)を使用しないなど、電動車の量産に向けた提案も盛り込まれている。

言わずもがな、ポルシェは2020年に国内導入が予定されているブランド初のピュアEVスポーツカー「タイカン」の充電インフラ拡充が目下の大きな課題だ。

こうした動きは中国のEV推進政策に加え、EU(欧州連合)の環境規制強化によるところが大きいが、一方で日本でもメルセデス・ベンツがEQCの受注を開始するなど、プレミアムクラスの電動化が話題となっている。そんな中でポルシェがEVスポーツカーのタイカン導入に先駆けてインフラ整備に乗り出すと発表。2020年半ばから150kWの急速充電設備を全国のポルシェセンターや公共施設に設置する考えで、設置基数などは明らかにしていないものの、高性能EVユーザーには朗報といえそうだ。
この150kWの充電設備はオーストラリアABB製で、日本で主流の充電規格CHAdeMO(チャデモ)にも対応。150kWの出力があれば今後増えるであろう大容量バッテリー搭載EVの充電時間短縮にも貢献するであろうし、国内充電設備の進化にもひと役買う可能性も高い。
こうした多方面にわたるドイツ勢の電動化攻勢が、パワートレインの構図を予想以上に早く書き変えることになるのか!?動向を見守りたい。

言わずもがな、ポルシェは2020年に国内導入が予定されているブランド初のピュアEVスポーツカー「タイカン」の充電インフラ拡充が目下の大きな課題だ。

ル・ボラン2019年9月号より転載

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