大胆予想! 2019年から2020年の輸入車ヒット予測

シボレー・コルベットC8

渡辺敏史

新ユーザー獲得の革新に一票

ガチで予測が難しい車種をあえて選んでみました。現行C7コルベットでは、レースで必要なクーリングチャンネル増設のため、C2世代から続くラウンドリアガラスを止めたことに賛否が起こったわけですが、今度のはそんなもんじゃあない。初代からのFRをMRレイアウトへと転換、横置きリーフスプリングを用いた足周りも大変更は避けられそうになく、搭載エンジンはさもすればOHVのV8に非ずという可能性も。つまり今までの伝統を全部ひっくり返すようなモデルになりそうなわけです。理由は速さのため。そうでもしないとトラクションが稼げないほどスポーツカーのパワーバトルがトンデモ領域にきてるということ。
守旧派の多いスポーツカー好きにはそっぽを向かれそうですが、僕のような五十代以降のファンばかりみていても枯れゆくのみですから、新たなユーザーの需要喚起のためにも大勝負は既定路線だったのでしょう。頑張ってほしいものです。

 

シトロエンDS3 クロスバック

南陽一浩

よく練られた“小さな高級車”

まずBセグのFFベースSUVという、売れ線カテゴリーであること。アウディA2やミニ・クロスオーバーというプレミアム勢に伍しつつ、まるで違う乗り味と世界観を打ち出していることに好感を抱いてます。昨年登場で最近パークアシストが追加装備されたDS 7クロスバックに続き、DSの独立後2台目のニューモデルですが、これでブランドの輪郭や立ち位置が明確になりました。車格から想像するより走行中の静粛性は高いし、高速での直進安定性はいいし、ハンドリングも粘る系。
PSAグループとして最新プラットフォームとなるCMPを使えたことが大きいですが、“小さな高級車”として相当に練れています。内装デザインがハデに見えるそうですが、クローム使いの面積は控えめで、マットな素材感とコントラストが効いた地味ハデぶりもいい。見た目や世界観といった非クルマ的アプローチで入っても、クルマとして満足度が高い、そこが今ドキだなと思います。

 

アルファ・ロメオ・トナーレ

西川淳

このまま出たら買うたるねん!

このまま出てくれたら(可能性は高いらしい)絶対買うたるねん! な一台がこれ、アルファ・ロメオの新型SUV、トナーレ。PHVであるとか、ステルヴィオと同じく峠の名前だとか、そんなことは今どうでもよろしい。とにかく、カタチがいい。目新しさはないけれど、シンプルで飽きのこないデザイン、という感じ。で、この感覚には今、日本のクルマ好きが徐々に慣らされているんですよね。マツダによって。これみよがしにWatch-me-OutなデザインのミニバンやSUVがはびこる日本で、マツダのデザイン戦略は突き抜けてユニーク。だから新たな風を呼びこむ素地になりうる、と。
そこへ、ファッションの国イタリアからトナーレのようなこれまたシンプル官能デザインのコンパクトSUVがやってきて……。再びアルファブームが来ちゃうんじゃない? と、期待してしまうのです。156&147のときがそうだった。20年に一度のアルファ・ロメオブームがやってくる!

 

マクラーレンGT

木下隆之

今の時代だからこそコイツがいい

内燃機関に引導を渡すがごときEV勢力の隆盛が叫ばれている中、そうであればあるほど、ガソリンに火をつけて飛ばすという暴力的なスーパーマシンへの郷愁が募る。実際に、フェラーリやランボルギーニといったエキゾチックマシンの人気は、一寸の衰えもない。むしろ燃え盛るばかりだ。
後発のマクラーレンも同様で、LT(ロングテール)に代表されるような、時代に反旗を翻すがごとき獰猛なマシンが話題だ。空に火を吹くような過激なマシンが人気だというのだから、時代とはわからないものだ。
そんな時代だからこそ、コテコテのレース屋であるマクラーレンが放つグランドツアラー「GT」に注目が集まる。理性と本能が共存するバイオレンスは、内燃機関の象徴として保有する価値がある。カーボンモノコック、4LV型8気筒ツインターボ……。心躍る記号性に満ち溢れている。昭和世代に抱いた初恋にケリをつけるには都合がいいのだ。

 

ランドローバー・ディフェンダー

森口将之

本物志向たちが待っている!

今のSUVブームは正直言ってお腹いっぱい。そう考えている人が多いからこそ、のジムニー・ブームだと思っている。やはり昨年モデルチェンジしたメルセデス・ベンツGクラスやジープ・ラングラーの人気が根強いのも、カッコだけのSUVはいらない、本物が欲しいという声が反映しているのだろう。となると残る大物としてランドローバー・ディフェンダーは注目せざるを得ない。
インポーターのウェブサイトにも近日公開の文字が出ているからデビューは近いだろうし、いままでのように英国郊外のカントリーハウスのガレージが似合うような出で立ちで登場してくれば、SUVはもういいよと思っていた人たちを振り向かせるはず。現行型にも少なくない支持者がいたことは、正規輸入終了後も多くの並行輸入車が販売されたことで立証済み。Gクラスとラングラーの中間の価格帯で正規輸入されれば、本物を求める人たちから熱烈な歓迎を受けることは間違いない。

 

ル・ボラン2019年8月号より転載

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