大胆予想! 2019年から2020年の輸入車ヒット予測

フォルクスワーゲン・ゴルフVIII

※写真は現行モデルのゴルフVIIです。

清水和夫

ゴルフ旋風、再上陸!

今年9月のフランクフルト・ショーでは、ついにゴルフVIIIが登場すると期待しているが、フォルクスワーゲンは電動化を強くアピールするためにエンジンを搭載するMQBはショーが終わってから発表するようだ。フォルクスワーゲンはEVをMEBと呼び、エンジンを搭載するMQBと差別化している。
兎にも角にもクルマ好きが気になるのはエンジンを搭載するMQBのゴルフVIIIだろう。初代ゴルフが1974年に登場したことを考えると、なんと45年も続くロングセラー。80年も続いたビートルにはかなわないが、ゴルフは多くの人に愛されてきたクラスレスなグローバルファミリーカーだ。
新型ゴルフⅧで期待されるのは、48Vのサブ電源を使うマイルドハイブリッド。微低速は電気モーターとして駆動することもできるので、より上質な走りになるかもしれない。メルセデスC200は48Vを使う1.5Lエンジンなので、そのクオリティに近づくのではないだろうかと私は期待している。

 

ジャガー I-ペイス

松本英雄

自動車の未来のためにあえて一票

「ジャガーIペイスが輸入車でヒットするわけないじゃん!」と言いたくなるのはわかる。あえて選んだのは世界の自動車がさらに成熟するための願いである。ジャガーは素晴らしく美しいキャブフォワードの5ドアデザインを世に送り出した。ピュアな電気自動車だからできたと言う点もあるが、目先の利益よりも内外装含めて他のメーカーを先導するジョンブル魂を感じるお手本のようなスタイリングである。
派手さはないが良質なモノを所有する喜びと、乗り手を客観的に見たときに理知的なエッセンスを感じる。スノビズムを感じるクルマである。自動車メーカーのエンジニアやデザイナーがIペイスを見て、自らのブランドに合ったクルマ造りの考えを改めたり、変えたりするきっかけを与えることができるエポックメーキングとしてのヒットモデルになればと思う。さすが、ロイヤルワラントが威信をかけて世に送り出したEVなのである。

 

プジョー208

竹花寿実

身の丈に合ったスポーツコンパクト

今春にジュネーブ・ショーで実車を見て以来、私の脳裏に焼き付いている新型プジョー208。ヨーロッパでは6月にデリバリー開始予定なので、来春には日本上陸と予想。新型508譲りのアグレッシブなフロントマスクや、ギュッと凝縮感のあるコンパクトなボディは、見るからに元気の良い走りを披露してくれそう。プジョーi-Cockpitを採用したインテリアもインパクト抜群。その昔205GTiに乗っていた身としてはワクワクが止まらない。
130psの1.2L 3気筒ガソリンターボを積む8速ATのGTラインも魅力的だが、100psと250Nmを発揮する新世代1.5L 直4ディーゼルターボが特に気になる。実際には本国でも6速MTのみの設定なので、日本市場への導入可能性は残念ながら低いだろう。だがピュアEVのe-208もある。136psと260Nmを発揮する電気モーターを搭載し、NEDCで450kmの航続距離を実現。手頃な価格のスポーツコンパクトEVとして要注目だ。

岡崎五朗

Bセグいちのベストルッキングカー

ヒット予想というより、ヒットして欲しいという願望を半分含んでいることをお断りしたうえで紹介するのがプジョーの次期型208。ジュネーブ・モーターショーで実車を見てきたのだが、これはもうそうとうカッコいい。508にも見られる鋭いデイタイムランニングライトもさることながら、抑揚の効いたラインや豊かな面の張り、強調したフェンダーアーチモールなどがまるで生き物のような躍動感を与えている。Bセグ車では文句なしのベストルッキングカーだと思う。先進感を前面に押し出しつつ、質感にも最大限配慮したインテリアの仕上がりも素晴らしい。
質感だけに注目すればポロにはわずかに及ばないが、208には乗員をワクワクさせるようなデザイン力が備わっている。CMPと呼ばれる新プラットフォームの仕上がりや、50kWhという大容量バッテリーを搭載し最大450km(NEDC)の航続距離を誇るEVバージョン、e-208も楽しみだ。

石井昌道

かつての205並みの軽快感に期待

フォルクスワーゲンのMQBやトヨタのTNGA、ボルボのSPAなどといった新世代の戦略は、プラットフォームを固定する部分と車種や大きさに合わせて自由にする部分を明確に分け、性能に悪影響を及ぼさない賢い共通化でコストを下げて、その分をいいクルマ造りに回すという考え方。PSAグループのEMP2プラットフォームは’13年とかなり早い段階で同様の考え方によって仕立てられ、308やシトロエンC4などは驚くほどのシャシー性能を誇った。定評のあるゴルフなどと比べてもダイナミクス性能で凌駕している部分もあるほどだ。
EMP2はCセグメント以上が対象なのに対して、新開発されたCMPプラットフォームはBセグメント以下。次期プジョー208は当然これを採用する。プジョーは2021年のCO2排出量規制に対して現状から10%強の改善の必要があり、軽量に仕上げることを目指しているだろう。となればかつての205並みの軽快感にも期待できるのだ。

 

ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク

藤島知子

フランクフルト空港で恋をして……

クロスオーバーSUVはいまや魅力的なモデルがあふれているが、中でも、クーペライクなスタイルとレンジローバーのSUVがもつ力強さを融合し、世界をアッと言わせたモデルが初代イヴォーク。今年6月から日本で新型モデルの受注を開始したようだが、先日、フランクフルト空港で初対面した時、その姿を見て思わず目を奪われてしてしまった。初代イヴォークは3ドアが設定されるなど、妖しげなムードを漂わす“攻めたデザイン”だったが、じつは少しキャラを薄めた5ドアの方が好みだった私としては、新型がモダンでこなれたスタイルに変貌したところに好感が持てた。
ドアハンドルをボディに格納して走る同社の麗しきヴェラールの流れを汲んだ精緻な造り込みは、まるで芸術品を眺めている気分に浸らせてくれるもの。大ヒットしたモデルの進化は難しいとされているが、新しい流れで描ききったあたりは見事。心を掴まれる人が続出するのではないだろうか。

 

ベントレー・フライングスパー

武田公実

粛々と着実に成功するはず

今回のテーマで最初に脳裏に浮かんだのは、さる6月11日に概要と広報写真が初公開されたばかりのベントレー新型フライングスパー。
今世紀のベントレー大躍進を支えてきた人気モデルの第3世代だが、新型コンチネンタルGT譲りとなるMSBプラットフォームの採用で、往年のSタイプ・コンチネンタル時代の元祖フライングスパーにより近いプロポーションと優れたシャシー性能を手に入れたことは特筆。その一方で、インテリアは現代ベントレーのハイエンドたるミュルザンヌさえ上回るのではないかと思わせるゴージャスな仕立て。「3Dレザー」などの新しいアプローチは、伝統的工芸の未来も予測させてくれる。
この秋には受注開始、英本国では2020年初頭にはデリバリーが始まる見込みとのことだが、成功はすでに約束されていると確信するのは、筆者がベントレー偏愛主義者だからという理由だけではあるまい。

ル・ボラン2019年8月号より転載

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