21ターボでは過給エンジンならではの興奮と刺激を体感できる
それは外観だけでなく内装にも当てはまり、紫外線によるダメージを受けやすいダッシュに割れはなく、天井の内張りも垂れておらず”みすぼらしさ”とは無縁。特に秀逸なのがシートで、ドライバーズシートに収まるとフッカリしたタッチの中に芯が通り、また適度にサイドサポートが立っているため、緊張感のないだらりとした姿勢になることはない。モケットの感触も良い。オプションでレザーを選択できたが、取材車のようにモケットがオススメだ。
トランスミッションは5速M/Tだ。小気味よくシフトチェンジを決めて、操る楽しさを体感したくなる。ちなみに21ターボは、マニュアルのみの設定であった。
今回は試乗する機会がなかったため、向かいに座る編集部員にその乗り味を聞いたところ「今では考えられないほどのどっかんターボ。効き始めを身構えて待てるくらいにラグがあるから」とのことだった。現代のクルマでは”本当にターボが働いてる?”と疑問に感じるほど低速から滑らかに過給がかかるが、21ターボでは過給エンジンならではの興奮と刺激を存分に体感できるようだ。ちなみに現役当時は、BMW・M3(E30)やメルセデス・ベンツ190E2.3-16の向こうを張るスポーツ・セダンであった、と言えばその性格が想像できるだろう。
ホイールは定番のスピードライン製に交換されている。組み合わされるタイヤサイズは205/45/R16。取材車は、ミシュランのパイロットスポーツ3を履いていた。
刺激の源泉となるエンジンはフロントに縦置きされている。4気筒SOHCにギャレット製ターボチャージャーを架装し、さらに空冷式インタークーラーを装着することで、最高出力175ps、最大トルク27.5kg-mを発生させている。
モケットシートはフロント、リアともにコンディションは良い。クッションが効いたドライバーズシートに座れば、これぞルノーと言いたくなるはずだ。また後席についても座面長がたっぷりと取られているため、大人でも快適な空間といえる。ドアや天井の内張りについても垂れは見られない。トランクスペースは奥行き、高さともにたっぷりで、家族旅行のような大荷物でも、収容スペースに不満が出ることはなさそうだ。
取材車のエンジンの吹け上がりやシフトの感触をお伝えすることはできないが、アルファステーションでは自社工場を持っているためしっかり整備して乗り出すことが出来るだろう。現代車にはない刺激を体感したいなら、間違いなく乗っておきたいモデルのひとつだ。
1992 RENAULT 21 Turbo
価格●890,000 円
レア度★★
パーツ入手度★★★
ドロ沼度★★★
生産終了となった1993年から20年以上が経過し、もはや希少種となった21ターボ。という訳で、程度の良い個体に乗るならそろそろ動き出したい。スポーツモデルだけに、オーナーによって手が加えられている個体が多いが、取材車は概ねオリジナルを残していた。
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Text:中本健二/Kenji NAKAMOTO Photo:内藤敬仁/Takahito NAITO カー・マガジン444号(2015年6月号)より転載