日本メーカーの米国投資、5兆6000億円に

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日本自動車工業会がレポートを公表。直接雇用も10万人に迫る

中国との関税合戦だけでなく、日本からの自動車輸出をさらに抑え、現地生産のための投資を求める米国政府。トランプ大統領も日本との貿易交渉にその要素を盛り込む意向のようだが、一方で日本メーカーはすでに米国へ多大な投資をし、雇用も創出している。2018年6月にはそのデータをまとめたレポートを公表したが、今年も日本自動車工業会(自工会=JAMA)が日本系メーカーの米国投資、生産状況、人材育成などをまとめた2019年版「JAMA IN AMERICA」を公表。日本系メーカーは米国にこれだけ貢献しているんだ、という情報を発信している。

昨年の同レポートでは2017年の日本系メーカーの投資総額は約483億ドル(約5兆2600億円)としていたが、2018年は約510億ドル(約5兆5600億円)と6%近く増加。現地生産台数は2017年の約380万台から2018年は370万台と減少傾向にあるが、一方で直接雇用人数は9万2710人から9万3599人とわずかながら増加して10万人に迫り、それにサプライヤーの雇用、ディーラー関連の雇用も含めると161万5460人の雇用を創出している。米国経済に収入をもたらす米国からの輸出台数も42万3415台から42万4163台と増えており、現地生産はもう完全に米国に根づいていると見ていいだろう。

さらに日本系メーカーはエンジニアなどの人材育成、フードバンクや幼児教育といった社会貢献活動を行なっていることを報告し、自動運転などの先進技術開発も紹介。1982年にホンダがオハイオに初の現地生産工場を開設して以来、累計生産台数は8400万台を超えており、いかに米国経済に貢献してきたか強調している。

米中貿易摩擦などで世界経済の不安定さが増すなか、日本系メーカーの米国生産がどうなっていくのか見通しにくいが、日米貿易協定の動きを見るとさらなる投資拡大が求められる可能性は高い。来年も公表されるであろうこのレポートが、その変化をどう伝えることになるのか、興味深いところだ。

ル・ボラン2019年8月号より転載

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