【国内試乗】「アルファ・ロメオ・ジュリア 2.2ターボディーゼル・スーパー」アルファ流、ディーゼルへの回答

オルタナティブとして大きな存在感を発揮

走った印象を簡潔に言うと、とにかく静かである。これにはバランサーシャフトに加えて、インシュレーターの素材や配置をガソリン車から変更し、エンジンノイズを可能な限りキャビンに伝えないよう徹底したことが奏功している。ウインドーを開けないかぎり、キャビン内はガソリン車を上回るほどのレベルで、極めて高い静粛性を実現している。

ディーゼル搭載車はモノグレードとなり、インテリアの設えはガソリンモデルと同じ。自動緊急ブレーキや車線逸脱時に警告を与えるレーンデパーチャーウォーニングなど先進安全機能も装備する。

走りそのものもとても上質だ。わずか1250rpmで300Nmを発揮する優れたトルク特性を持つエンジンは、ガソリン車と同様に8速ATが組み合わされるが、変速は非常に滑らかかつ伸びやかで気持ちのいい加速を披露する。大トルクに加え、ガソリン車に対して車両重量はわずか10kgしか増加していないのだから当然だ。
しかも、どこまでもフラットトルクな昨今のディーゼルとは異なり、トルクバンドの存在を感じさせる絶妙なトルク特性のため、積極的にシフトパドルを使って走りたくなる、アルファならではの官能性も備えている。本国仕様には仕様の異なるエンジンでMT車も用意されているそうだが、これもきっと楽しい仕上がりなのだろう。

ハンドリングに関しては、ガソリン仕様より若干だが大人しい印象。サスペンションのセッティングやタイヤがまったく同じで、フロントの重量だけが増えているのだから当然だが、とはいえジュリアらしい俊敏な走りは健在で、ワインディングロードを気持ち良く走ることができた。

より刺激的な走りを求めるならガソリン車のセレクトをおすすめするが、上質感や懐の深い走りを重視するならディーゼルを選ぶべき。WLTCモードで17.2km/Lと経済性も高いので、2.2Lディーゼルターボはかなり魅力的な選択肢である。
ドイツ系のモデルが幅を利かせているこのクラスにアルファ・ロメオが投入した最新ディーゼルは、オルタナティブとして大きな存在感を発揮することになりそうだ。

リポート:竹花寿実/T.Takehana フォト:柳田由人/Y.Yanagida ル・ボラン8月号より転載

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