太陽の光のように様々な表情をみせて世のハイエンドカーを美しく引き立てる クレンツェ・マリシーブ

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徹底的に輝かせるか効果的に黒で落とし込むか

アフターホイール界のパイオニアであるウェッズのハイエンドカテゴリーがKranze(クレンツェ)として括られる一連のドレスアップホイールだ。その新作であるMaricive(マリシーブ)には彼らの底力が色濃く宿っている。

エイムゲインのフルエアロを装着したレクサスLS500 Fスポーツにマリシーブの22インチ(フロント10.0J、リア11.5J)が調和する。随所が黒く落としこまれることで細い5本のスポークが浮き立つように見える。

半世紀も前に日本で初めて、純正ホイールに代わるアフターホイールを世に送り出したパイオニア的存在がウェッズである。’77年には日本初のアルミ鍛造3ピースホイールを市販するなど常に業界をリードし、現在もなお最前線を突っ走っている。ウェッズのラインアップは、スポーツ系からドレスアップ系、ウインタータイヤ用に設定されるものまで幅広い。スポーツホイールに相当するウェッズスポーツを別立てと考えると、彼らのラインアップのフラッグシップにあるのがKranze(クレンツェ)ブランドだ。20年以上の歴史を持つウェッズの顔であり、複雑なディスク面構成が織りなす高級感は、日本を飛び越え世界中の人々を虜にしてきた。ことあるたびにバリエーションを拡大してきたクレンツェは、今年になってまた歩みを進めた。サンスクリット語で「太陽の光」を意味する「Marici」を基にした名を持つMaricive(マリシーブ)が登場したのだ。

クレンツェの伝統であるSBCポリッシュのほか、抜群の輝きを持つハイパークローム、ブラック&バフ仕様を進化させ天面切削部分をブラッシュド加工したブラック&バフ/ブラッシュド、今作から新たに登場したセピアブラック/ポリッシュなどが用意される。

それは確かに、太陽から燦々と降り注ぐ日差しのような造形を持っている。センターから放射状に拡がっていくスポークは、わずかにヒネリを利かせつつ立体的に仕立てられ、全体として有機的な美しさを感じさせる。実際、ストリートでは光の当たり方によって次々と表情が変わり、つい何度も眺めてしまう。周囲の光を受け止めてキラキラと反射しながら回転している様子もまた美しい。まるで宝飾品を履いているかのように足もとを彩るのなら、クレンツェお得意のSBCポリッシュか、強烈に光り輝くハイパークロームなど光沢系を選んでみたい。シックな雰囲気ならセピアブラック/ポリッシュか、ブラック&バフ/ブラッシュドがいい。特にウェッズは最近、ブラックリムに注目しており、マリシーブを含むクレンツェシリーズにブラックエディションというブラックリム仕様を設けている。複雑な造形をあえて黒で落とし込むことによって、より大人っぽい雰囲気になる。

さらに自分仕様に仕立てるのなら、クレンツェ3ピースシリーズに今年から用意されるようになったカラーコーディネイトシステムが役に立つはずだ。ディスクやリムの色や仕上げがさらに複数種用意されるほか、ピアスボルトやバルブキャップ、センターキャップもコーディネイトできる。こうしたきめ細かい体制こそ3ピース構造の利点であり、なによりも老舗ウェッズが貫くユーザーフレンドリーな姿勢がうかがえる。

サイズラインアップをみると、下は19インチから上は22インチまで。国内外のハイエンドサルーンはもとより、プレミアムSUV勢に当てはめても似合いそうだ。リバースリムを駆使して最大13・0Jまで用意し、その中で豊富なインセットが設けられるので、適合車種の幅は広い。あらゆる車種に対して豊富なデータを持つウェッズらしい対応力だと感じる。こうした幅の広さを持ちながら、ホイールという限られた枠内において次々と芸術作品として完成させてくるクレンツェシリーズの、引いてはウェッズの底力を感じずにはいられない。これこそまさに日本の伝統芸である。

 

リポート:中三川大地 ル・ボラン6月号より転載

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