中嶋一貴選手が日本人初のWECチャンピオンに
FIA世界耐久選手権(WEC)2018-2019年スーパーシーズンを締めくくる、第8戦ル・マン24時間レースでトヨタGAZOOレーシングの「TS050ハイブリッド」8号車が昨年に続き2連勝を獲得した。中嶋 一貴/セバスチャン・ブエミ/フェルナンド・アロンソの3選手はWECシリーズチャンピオンも獲得。中嶋一貴選手は、日本人として初めてサーキットレースでのFIA世界チャンピオンに輝いた。
一方、レースの大半で首位を走行する速さを見せた小林 可夢偉/マイク・コンウェイ/ホセ・マリア・ロペス組の7号車は首位を独走していた残り1時間、突然のタイヤパンクで緊急ピットイン。その結果8号車の先行を許すこととなったが、トップと16秒972差の2位でフィニッシュ。トヨタGAZOOレーシングは2年連続の1-2フィニッシュを飾っている。
WEC第8戦 ル・マン24時間 最終結果(LMP1クラス)
1位:385周 ⑧TS050ハイブリッド(Sブエミ/中嶋 一貴/Fアロンソ)
2位:385周 ⑦TS050ハイブリッド(Mコンウェイ/小林 可夢偉/Hマリア・ロペス)
3位:379周 ⑪BR1・AER(Vペトロフ/Mアレシン/Sバンドーン)
4位:376周 ①レベリオンR13・ギブソン(Nジャニ/Aロッテラー/Bセナ)
5位:370周 ③レベリオンR13・ギブソン(Tローラン/Nベルトン/Gメネゼス)
6月16日午後3時、25万人もの観客が見守る前で長い24時間レースを締めくくるチェッカーフラッグが振られ、8号車がトップでこれを受けた。続いて7号車が2位でフィニッシュラインを通過。2年連続のトヨタGAZOOレーシングの1-2フィニッシュとなったが、これは、終盤最後の1時間でのドラマティックな展開の末の結果であった。
レースが残り1時間となった367周目、2位の8号車に2分以上の大差をつけて首位を独走していたロペスがドライブする7号車が、タイヤのパンクを感知して緊急ピットイン。タイヤ交換後にコースへと復帰したが、ロペスは車両の異常を感じスローダウン。再度ピットへ戻らざるを得なくなり、追い上げていた中嶋がドライブする8号車の逆転を許すこととなってしまった。
レースは小林がマークした予選最速タイムによってポールポジションからスタートした7号車を、8号車が追い、24時間という長いレースを通して、2台の1000㎰を誇るTS050ハイブリッドによる白熱した接近戦が繰り広げられた。終盤に入ると7号車が8号車との差を広げ始め、残り1時間、あとは7号車の初優勝へ向け走り切るだけと誰もが思い始めていた矢先の、信じられないようなアクシデントであった。
残り1時間、逆に8号車に1分ほど先行されることとなってしまった7号車だったが、ロペスは諦めることなく、逆転を目指して猛烈なアタックを続け、8号車との差をじりじりと詰めていったが、その追い上げもわずか17秒及ばず2位でチェッカーを受けることとなった。
これで8号車は昨年に続きル・マン24時間レース2連勝。8号車の3名のドライバー、ブエミ/中嶋/アロンソはWEC 2018-2019年スーパーシーズンのドライバーズチャンピオンを獲得。中嶋は日本人として初めて、サーキットレースでのFIA世界チャンピオンに輝いた。トヨタGAZOOレーシングとしては2014年以来となる、マニュファクチャラーとドライバーの両タイトル獲得となる。