フィアット500のポップな楽しさに広い空間を与えたモデルが500X
このエンジンがいい。従来型を知る人は、まず出足で“おっ?”と軽く驚かされるだろう。何せ1850rpmで最大トルクの270Nmを発揮するわけだから、発進した瞬間から力強く転がっていく。以前の1.4Lターボにはじれったさに近い感じを受けたかも知れないが、これなら不満はないだろう。回転感は滑らか、トルクは全域に渡って厚みを増した印象で、街中ではとても柔軟。けれど、3500rpm前後から勢いを増して、上までシャープに吹け上がっていく。本来はなんてことない実用エンジンのはずなのに、スポーツエンジンのような楽しさを味わえるのだ。このあたり、とてもイタリアっぽいなぁと思う。
フットワークは従来型を継承して、ほどほど+αくらいにスポーティ。変なロールを感じさせることもなくコーナーをサラッと気持ちよくクリアできる、曲がることを楽しめるSUVだ。ただ、その分(導入直後の試乗だったから各部がまったく馴染んでない印象ではあったけど)、路面の表情をやや素直に乗り手へ伝えてくる感覚もあった。それをしっとり感の薄いヤンチャな乗り味と感じる人もいれば、エネルギッシュで若々しい乗り味と感じる人もいるだろう。こればかりは相性である。
もう少しオドメーターが伸びたら再度試してみるつもりだけど、現時点においても、楽しいクルマが好きな僕は後者。いずれにせよフィアット500のポップな楽しさに広い空間を与えたモデルが500Xであるなら、その存在感はよりクッキリした気がする。
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