【海外試乗】「マクラーレン720Sスパイダー」スーパーシリーズの最新オープントップモデルが発進

マクラーレンの世界観をダイレクトに満喫できる

マクラーレンのスーパー・シリーズに装備されるアクティブサスペンションが、スーパースポーツカーとは思えない快適な乗り心地と驚異的なコーナリング性能をもたらすのはご存じのとおり。この点はスパイダーでもまったく変わりはないが、ではリトラクタブルトップを開け放つとどうなるのか。

もちろん、屋根を開けたからといってボディ剛性が下がるわけではない。それでも、アリゾナのキンと冷え切った朝の空気がキャビンに優しく吹き込むと、それまでとは心持ちが大きく変わるのがわかる。720Sは最先端のテクノロジーをふんだんに駆使して作られた贅沢なスーパースポーツカー。それが、ルーフを開くことで倍加されるような気がするのだ。

インテリアのデザインとレイアウトはクーペと同一。オープン時の風の巻き込みは100km/h時でもほとんど気にならない。いざとなればリアウィンドーを開けるという手も残されている。

そのゴージャスな世界観を満喫するためにペースを少し落としてみる。すると、開け放ったルーフからキラキラと輝く光の粒子が舞い降りてきたように思えたのは気のせいか? ひとしりきゆっくり走ったところで再びペースを上げても、720Sの安定感溢れる走りはいささかも揺るぎがなかった。これもまたマクラーレンらしいゴージャスな体験であろう。

マクラーレン・スパイダーには隠し技のような仕掛けがもうひとつ備わっている。キャビン後方の小さなリアウィンドーを下げることできるのだ。ルーフを閉じたままこの小窓を開ければ、小気味のいいエンジンサウンドが新鮮な空気とともにキャビンへともたらされる。ルーフを閉じたときよりもちょっぴりスパイシーなその臨場感は、720Sのもうひとつの楽しみ方を教えてくれるかのようだ。

ルーフにオプションのエレクトロクロミック・グラスを装備すれば、スイッチひとつでガラスを透明にも半透明にも変えられ、パッセンジャーを強い陽射しから守ることもできる。

なお、スパイダー化に伴って、フライング・バットレスと呼ばれる空力パーツをヘッドレスト後方に設けたこともニュースのひとつ。しかも、これを透明にして720Sのウリのひとつである斜め後方の視界を確保している。単に速さを求めるだけではなく、実用性の高さを担保するのもマクラーレンの真骨頂といえる。

リポート:大谷達也/T.Otani フォト:マクラーレン・オートモーティブ ル・ボラン2019年5月号より転載

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