SLの汽笛を聞きながら大井川を源流へと遡る「川根路」(静岡県)【日本の街道を旅する】

SLと並走しながら南アルプスの源流域へ

大井川沿いには桜の名所が点在。なかでもすばらしいのは家山駅の南にある了玄の桜トンネル。例年3月下旬から4月上旬にかけて、線路も国道も桜の並木で包み込まれる。

一時は枯れ川になってしまった大井川だが、住民運動の高まりもあって、1987年から河川維持放流を開始。最近はカヌーを楽しめる程度にまでは流れを取り戻している。
そんな大井川に寄り添いながら、南アルプスの山懐へと深く分け入っていくのが川根路である。

大井川鐵道のSLは1日に1-3便運行している。休日などは満席のことも多いので事前に予約しておいた方がいい。0547-45-4112(SL予約受付)。

道の両側には緑の茶畑が点在し、それが太陽の光をいっぱいに浴びてきらきら輝いている。胸のすくような走りや景色を楽しめるわけではないが、交通量は少なく、淡々と走るにはじつに心地いい道だ。
もうひとつ、この川根路に彩りを添えているのが、毎日1-3往復走る大井川鐵道のSLである。時刻表を見ると、SLが牽引する急行は金谷駅から千頭駅までの40kmを1時間15分ほどで走る。平均時速は約30km/h。始発駅で出発を見送り、そのあとを追走すれば何度もSLの姿を目にできる。

3両の蒸気機関車のほか、古い電気機関車や私鉄車両も動態保存目的で走らせている大井川鐵道。駅舎も昔のままの趣きある姿をとどめたものが多く、全国から多くの鉄道ファンが集まってくる。

千頭駅をすぎると、大井川鐵道はアプト式ディーゼル機関車の走る支線になり、川根路もまた渓谷にへばりつくような険しい山道へと変わっていく。
奥大井と呼ばれる行き止まりの山間部に人が住み着きはじめたのは江戸時代のはじめ。駿府城を築くため、大井川を利用した木材の伐り出しが盛んになったのがきっかけである。点在する小さな集落を抜け、ダム湖の脇を走り続けると、やがて雪を抱いた南アルプスの高峰群が目の前に見えてくる。

意外と年齢の若い運転士さん。やはりSLの運転士になりたくてこの会社に入ったのだそうだ。

※掲載データなどは2011年9月末時点のものです。実際におでかけの際は、事前に最新の情報をご確認ください。

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