走破性もさることながら設えの美点も再確認
翌日は、氷上に特設されたアイストラックで試乗を行なったが、滑りやすい路面でもクセのない、扱いやすさをはっきりと確認することができた。おそらく、パワーを4輪の間で分割するボルボお馴染みの「プレチャージ式電子制御AWDシステム」が状況に応じて作動し、さらにESCと連動してコーナーでの安定感を生み出してくれているのだろう。身のこなしはFFベースの4WDというよりも、むしろFR的な印象。思い通りのターンインが決まれば、クローズドコースのお約束、ドリフト遊びも楽しむことができた。
そしてもうひとつ、今回再確認できたこととして、ボルボ車の考え尽くされたデザインワークだ。
話は前後するが、この試乗会の10日前、デザイン部門上級副社長のロビン・ペイジ氏が来日し、カジュアルな場でインタビューをする機会があった。
日本では、自動車に限らず、家具や雑貨でも“スカンジナビアデザイン”という言葉がひとり歩きしているきらいを感じていたので、ボルボがスカンジナビアンデザインを体現する上で、精神的に重要な要素は何かとぶつけてみた。彼は、それは3つあると、そのひとつが「自然との繋がりを大切にすること。スウェーデンのライフスタイルに直結すること」であると話してくれた。
確かに、ボディカラーのラインアップはどれもスウェーデンの景観と調和していた。日照時間の短い冬は、家の中でゆっくり過ごすことも多いだろうが、それはクルマの中も一緒で、居心地のいいインテリアや設えがパッセンジャーをホッとさせてくれる。そう、これこそスカンジナビアンデザインであり、ボルボ・デザインの本質であり、ボルボ車の魅力なのだと、そんな気づきも得られた。
余りある走破性で自然の近くに出かけ、その道中も目的地に到着してからも、心地よい時間を過ごす。このライフタイルを実現してくれるツールこそ、V60クロスカントリーと言えるのだ。
もしこの世界観に少しでも共感するならば、V60クロスカントリーを手にする価値は十分にある。
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