量産型は2020年末までに登場
アウディは11月30日から一般公開されるロサンゼルス・モーターショーにおいて、「アウディe-tron GTコンセプト」を初披露する。この4ドアGTコンセプトは、すでに生産がスタートしている「e-tron SUV」、2019年に登場予定の「e-tronスポーツバック」に続く、アウディの電気自動車「e-tron」ファミリー第3弾となるショーモデル。量産モデルは2020年末までに登場し、2021年初頭にデリバリーを開始する見通しだ。
このコンセプトモデルは、フラットなフロアアーキテクチャーによるエキサイティングなプロポーションと低い重心が特徴。590psを引き出す電気モーターと、トルクベクタリング機構付きの4WDシステム「クワトロ」が搭載され、アウディの次世代スポーツモデルにふさわしいパフォーマンスを実現する。量産化に向けては、R8やRSモデルといったハイパフォーマンスモデルの開発を手がける「アウディスポーツ」が担当する。
前後アクスルにはそれぞれに永久磁石式同期電動機(PMモーター)を搭載。将来的には0-100km/h加速を約3.5秒で、0-200km/h加速を12秒でこなす加速性能が与えられることになる。最高速が240km/hに制限されるのは、WTLPモードで400kmを超える航続距離を優先するためだ。バッテリーは90kWh以上の容量が備わる。
これらの電気駆動コンポーネントは、フラットなフロアの低い位置に搭載されるため高い運動性能を発揮。4WDシステムの「クワトロ」も手伝って、非常に優れたコーナリング性能を実現する。ちなみに、重心の低さは同社のスーパースポーツモデル「R8」に匹敵するという。
バッテリーは800Vの充電システムに対応し、高速充電が可能。80%まで充電するのにかかる時間はわずか20分ほどで、80%充電の状態でも320km走行することが可能だ。充電方法はケーブル接続のほか、ワイヤレスチャージングによる非接触充電にも対応している。
ボディサイズは全長4.96×全幅1.96×全高1.38m。カーボン製のルーフや多くの部分にアルミニウムが用いられたマルチマテリアル構造により、ボディは軽量化が促進されている。ルーフラインはアウディの美しいデザインを象徴するスポーツバックスタイル。このラインはアウディのデザイン言語を次の革新的な段階へと引き上げているもので、現行モデルラインナップのモデルと比較した場合、リアに向かって大きく絞り込まれたデザインが際立った印象をもたらす。
ホイールアーチやソリッドなリアディフューザー、5ツインスポークのホイール(タイヤサイズは285/30R22)など、エクステリアのディテールは優れた空気抵抗係数と低い揚力係数を追求するべく風洞実験室から生み出されたもので、このコンセプトモデルの視覚的な特徴にもなっている。フロントマスクでは矢印形状のヘッドライトが目を引く。これはレーザーハイビームを備えたマトリクスLEDライトの存在を主張するものだ。
2.9mのホイールベースにより、キャビンは大人4人が快適に過ごせる空間が確保されている。インテリアデザインは上質な雰囲気にまとめられており、実用性も追求されている。コクピットは人間工学に基づき、大型タッチスクリーンを含むセンターパネルなどはドライバーを取り囲むようにデザイン。センターコンソールとインスツルメントクラスターは、まるで宙に浮かんでいるような印象を与える。シートはモータースポーツからフィードバックされたスポーツ仕様で、高速コーナー走行時でも乗員に理想的なサポートをもたらす。ラゲッジルームはボディの前後2カ所に設けられ、フロントフード下に100L、テールゲート下には450Lのスペースが確保された。
アウディでは2025年までに、世界の主要市場において12の電気自動車を発売し、電動化モデルの販売台数を全体の約3分の1にする方針。すでに発表された「e-tron SUV」に続き、2019年にデビューする「e-tron スポーツバック」、そして今回発表された「e-tron GT」以外にも、ステーションワゴンのアバントやスポーツバットクといった従来型のボディを備えた電動化モデルも導入していく予定で、そのラインナップはコンパクトからフルサイズまで、あらゆるセグメントを網羅していくという。