4年ぶりの開催となったポルシェレーシングスポーツの祭典、レンシュポルト・リユニオンでは、今年で創業70 周年を迎えたポルシェらしいサプライズが用意されていた。その名もズバリ「ポルシェ935」。輝かしい戦績を残した名を持つ、この特別なモデルの正体とは?
往年のマシンを彩る数々のディテールも追加
9月最終週のアメリカはラグナセカにて、通算6回目となるポルシェレーシングスポーツの祭典、レンシュポルト・リユニオンが開催された。今回も沢山の、本当に沢山の見どころがあったこのイベント。まずオープニングデーを熱狂的に盛り上げたのが、サプライズとして発表された、その名もポルシェ935だ。
改めての説明は不要だろう。そのモチーフとされたのは“モビーディック”の愛称で呼ばれる伝説のレーシングマシンであるポルシェ935/78である。外板の多くをCFRP製とした全長実に4.87mのボディの流れるように美しいフォルム、長く後方に伸ばされたリアエンドの造形、そしてディッシュタイプのホイールは、ひと目で解るアイコン。さらに、リアウイングのエンドプレートに付けられたLEDリアライトは919ハイブリッドから、サイドミラーは最新の911RSRから、テールパイプは1968年の908からといった具合に、往年のマシンを彩ったディテールが、外観のあちこちに忍ばせてある。
コクピットも同様。ウッドのシフトノブは917や909ベルグスパイダー、市販車カレラGTからの引用だし、カーボン製ステアリングホイールや、データロガーであるコスワースICDは2019年モデルの911 GT3Rに採用されるものと同じだったりと、やはりコンペティションの匂いが散りばめてある。なお、助手席はオプションで装着できる。
これだけ自由な造形ができたのは、実はこの新生935が公道走行を前提としていないモデルだから。販売される限定77台は「クラブスポーツイベントやサーキットでのプライベートトレーニング用」と謳われているが、実際にはほとんどがコレクターのガレージに収まることになるはずだ。
もちろん、実際に走らせても構わない。ベースは911 GT2 RS。最高出力700psの3.8リッター・ツインターボエンジンに7速PDKを組み合わせたパワートレインなどは踏襲しているが、サスペンションは3ウェイのレーシングダンパーが標準となり、エアジャッキも標準装備。そのスペックにも当然ながら不足はない。
参考までに価格は税抜き70万1948ユーロで、デリバリー開始は来年6月を予定している。ただし、これもご想像の通り、車両はすでにソールドアウトしているとのことである。
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