アウディのメキシコ工場が汚水ゼロに

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年間約10万㎥の水を節約

アウディはこのほど、2016年に開業しグローバル市場向けに「アウディQ5」を生産しているメキシコ工場において、同工場から排出される廃水を100%再利用するシステムを採用したことを発表した。

自動車工場では塗装工程をはじめ、製造の全行程で水が必要だ。アウディ・メキシコ工場で排出される廃水は、水を中和し粒子や重金属を塗料工場から取り除く化学物理的処理を最初に受ける。この前処理された水は、有機成分が分解する生物学的排水処理プラント内の現場からの残存廃水と一緒にさらに処理する。最後に、限外ろ過と多段階逆浸透の組み合わせで、細菌およびアルカリを含む残りの汚染物質を分離。衛生的で高品質の再生水を直接現場で再利用している。逆浸透からの濃縮物は水分を蒸発、脱水された固形物は処分される。

アウディ・メキシコは、処理された水を生産のプロセス水として使用し、工場の緑地を灌漑。この革新的なプロセスにより、同工場の総必要量の約4分の1に相当する年間約10万㎥の水をすでに節約している。長期的には、毎年30万㎥以上の地下水が節約できる見通しだという。

アウディAGの生産&物流管理委員会のピーター・ケスラーは次のようにコメントしている。
「私たちは、すべての現場でCO₂ニュートラルで完全に排水がない車を生産するというビジョンを追求しています。我々はメキシコのサン・ホセ・チャパ工場で、この点で大きなマイルストーンに達しました。自動車メーカーとして我々は、水などの貴重な資源を慎重かつ環境に適合して使用する義務があります。新しい再処理方法により、メキシコの水不足対策にも大きく貢献しています」

アウディ・グループでは2025年までに、基準となる2010年と比べて環境への影響をクルマ1台あたりで35%削減する目標を掲げている。アウディ・メキシコでは、その目標の実現に向けて、近隣に10万以上の樹木を植え、100ヘクタールの敷地に2万5000個の浄化槽を設置。4月〜9月の雨季には毎年37万5000㎥の水を地下水に戻すことができるという。

アウディは、工場の廃水を完全に排除したクルマを生産する、世界初のプレミアムメーカーとなったのである。

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