5月23日(水)から25日(金)まで、(神奈川県横浜市西区)パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」リポート第2弾。
NTNの技術が車両の取り回しやハンドリング向上に貢献
ベアリング(軸受け)やドライブシャフトの大手サプライヤーであるNTNは、ハブベアリングや固定式等速ジョイント、インホイールモーターなどの新製品を中心とした意欲的な展示が目を惹いた。最小回転半径を小さくしたり、コーナリングや直進安定性を向上させたりする技術などを披露。エンドユーザーが近い将来恩恵を得られる技術の見本市ともいえるブースの中から注目技術を厳選してお届けしよう。
ステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」
ハブベアリングで世界シェア1位を誇るNTNが参考出品(新商品)したステアリング補助機能付ハブベアリング「sHUB」は、既存のステアリング装置のままステアリングホイール、サスペンションに取り付け可能という汎用性の高さが特徴。
従来のステアリングは、ハンドル操作の角度により転舵するタイヤの角度が一定に設定されているが、「sHUB」は、左右各輪の転舵角度を個別に補正可能で、先述のようにモジュール化されている。
具体的には、ドライビング時の舵角と車速データを元に、タイヤの転舵角度を最適に補正することにより、コーナリングや高速安定性を向上させるほか、スリップなど非常時の車両姿勢の安定化も図れるという。こうしたロスの低減により、燃費改善も期待できるとのこと。
世界最高の最大作動角55°で最小回転半径を小さく
こちらも参考出品(新商品)となった超高角高効率固定式等速ジョイント「CFJ-W」は、前輪用のドライブシャフト。NTNは2012年から最大作動角50°の高角固定式等速ジョイント「VUJ」の量産を開始し、軽自動車からSUVまで多くの採用例がある。
今回の「CFJ-W」は、2012年に発表された「次世代高効率固定式等速ジョイント(CFJ)」がベース。各部品の高強度化と潤滑性の改善に加えて、独自技術による構造(円弧状の内・外輪のボール転動溝を軸方向に互い違いに傾斜させた構造)を採用することで、世界最高の最大作動角55°を実現している。
さらに、従来の「VUJ」と比べてトルク損失率も約半減させたという。「CFJ-W」搭載車種が市販化されることで、最小回転半径の短縮だけでなく、燃費向上にも寄与することが期待されるわけだ。
中国企業とインホイールモーター駆動の技術ライセンス契約を締結
そのほか、最近の欧州車などがマイルドハイブリッドとして積極採用している48Vシステムとの組み合わせで、最大25%の燃費改善に寄与する「e-HUB(2017年に発表)」、中国の春富晟汽車創新技術(FSAT社)が北京モーターショー2018で披露したインホイールモーター搭載車(乗用車では世界初)に採用されたNTNのインホイールモーター技術なども披露されている。