【2017マツダ車雪上取材会】マツダならではの味付けを雪上で体感!
「人馬一体」をコンセプトに、走る歓びを感じさせるクルマづくりを進めるマツダが、ここ数年の恒例となった雪上試乗会を昨年の12月中旬に開催した。会場となった同社の北海道剣淵試験場はもちろん氷点下で、折からの降雪によって一面白銀の世界だ。
まる1日掛けて行われるプログラムは大きく3つで、まずはパワートレイン開発本部の井上政雄氏による技術プレゼンからスタート。ここで語られた今回のキーワードが「躍度(やくど)」である。
これはクルマの駆動力や制動力、旋回力に応じて生じる、加速度が変化していく勢いを示す数値とのことで、この変化率が大きくなると乗員の感覚と身体に影響がある。簡単にいえば、ドライバーのアクセルやブレーキ、ステアリング操作に対するクルマの姿勢変化が、ドライバーの意図とズレてしまうと違和感が生じるとともに、不意に身体や頭が揺すられるなど著しく快適性を損なってしまう。逆に、ドライバーの意志に忠実な動きをするクルマは「気持ちいい」ということらしい。
※音声ONでエンジニアの解説をお聞きください
その真偽を検証するべく、最新SUVモデルのCX-8で一般公道へと出発した。撮影機材が満載できる荷室と3列シートの広大なキャビンは快適で、スカイアクティブD2・2がもたらす豊かなトルクをフルタイム4WDを介したスタッドレスタイヤが、新雪の積もる路面を確実に捉える安心感は緊張を解きほぐしてくれた。
もちろん見通しが悪く、滑りやすい路面に応じたコントロールを心掛けたが、大きなボディのCX-8がリポーターの意図を裏切ることはなかった。この忠実度は復路で乗り換えたCX-3にも共通するものだったから、まずはマツダSUVラインナップの「人馬一体」ぶりは確かめられた。
午後は試験場のコースを使ったプログラムだ。アップダウンや
変化に富んだコーナーを設定した融雪道コースをCX-5でトライする。ここでクセモノは、ダッシュボードに設置されたモニターだ。リポーターの操作に対する「躍度」の変化を示すもので、乱高下する波形がリポーターのヘタクソぶりを明らかにしてしまう。
続く直線路でもストップ&ゴーやスラロームでの運転操作に対する躍度の変化を測るとともに、アクセルレスポンスなどパワートレインの設定を変えて、そのフィーリングの違いを明らかにした。確かにドライバーの意志と操作に反した急加速や緩い反応は、極端な姿勢変化が生じて違和感を覚える。なによりドライビングに集中できない心理が危険だ。
こうした「躍度」の変化をドライバーの意のままにコントロールできる味付けが、マツダが提唱する「人馬一体」に隠し味なのだ。それがSUVだけではなく、ロードスターやアクセラ、デミオに至るまで貫かれていることは、特設コースでタイムアタックに挑戦する、雪上オートテスト(簡易ジムカーナ)で確かめることができた。
なるほど、新世代マツダのラインナップが、舌の肥えた欧州や北米のユーザーにも好評な理由がコレかと納得。優れた素材を活かすも殺すも「味付け」のレシピしだいということだろう。
フォト&ムービー:宮門秀行 H.Miyakado
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