ボディはなぜか先祖返り!?
もう間もなく、この7月11日にデビューすると公表されているアウディ「A8」の最後のスクープ画像が届いた。ボディにはもはやほとんどカモフラージュはなく、ブラックテープでグリルやライト周りを隠しただけのスッピンに近い写真だが、ブレとピンボケという政治的(?)カモフラージュがかかっている。顔つきは従来よりワイド感が強くなったことや、やや長めのノーズが特徴だといえる。ちなみにサイドミラーは今時の常識であるドアマウントとなり、視界的にも空力的にも進化していることがうかがえる。
先行する「Q7」同様の「MLBエボ・プラットフォーム」を採用しているわけだが、現行モデルと比べると、新型A8の骨格は“鉄分が多い”のが特徴だといわれている。材料重量比でモノコックの40%に最新スペックのスチールが採用されているのだ。これはモノコックのフロンドバルクヘッド下のクロスビーム、サイドシルからBピラー、さらにABピラー間のルーフインナー骨格に熱間成形の高張力スチール、またバルクヘッドからエンジンマウントに至るビーム、およびドア前端からフェンダー上部骨格には通常のプレス成形スチールが使われているからだ。
だが、もちろんモノコックの大部分には従来同様アルミのプレス成型、ダイキャスト、押し出し材が採用されているので、他社との比較においては依然アルミを多用するボディであることに変わりはない。なおフロントサスのアッパーブレースはマグネシウム、リアバルクヘッドにはCFRPが採用されているようだ。
今回の鉄分の増加の背景には、近年の自動車用鋼板の素材としての進化が著しく、もともと優れた加工性を持つ素材ということもあり、車体各所で重量・強度・剛性のいずれもがアルミ素材を上回るようになったため。またライフサイクル・アセスメントでも鉄の方が環境負荷が小さいことも最新の知見で明らかになっている。今回のスチール採用部位を見ると、とりわけ衝突安全性面が重要視されたことがよくわかる。
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