ハイブリッド化は普通のクルマほど容易じゃない
奇妙な擬装を施された次期911のテストミュールがニュルブルクリンクで目撃された。新プラットフォームは、現行世代のそれに、さらなる軽量化、トレッド拡大とハイブリッドモジュール搭載への対応という3大命題をクリアすべく開発が進められている。
ポルシェにとってスポーツカー911の存続は絶対的使命だが、生き残るためには時代に見合ったエコ性能を実現しなくてはならない。よって2018年にデビューするといわれる次期911ではハイブリッド仕様の投入がマストなのだが、これは技術的にはかなりのチャレンジといえる。なにせスポーツカーの短いホイールベース内にハイブリッドモジュールを収めなくてはならないし、しかも911のパワートレインはリアエンジンのフラット6という非常に特殊なスペース制約がある。エンジンやトランスミッションの周りにハイブリッド用モジュールを配置し、低い位置にバッテリーを収めればOKという「世間のハイブリッドの定石」は、911にはあてはまらないのだ。
またハイブリッドシステムという付加重量を加えた911を、911らしく機敏に走らせることも、とても容易なこととは思えない。重量配分はどうなるのか? タイヤの能力は? 重量が変化する燃料タンクの配置は? ポルシェのエンジニアたちはとてつもない難題に挑んでいるのだ。
それはさておき、件の妙な擬装の話に戻ろう。付加重量と重量配分の変化を考慮すれば、911らしい旋回性を造り込むには、タイヤサイズとトレッドの拡大は必至。なのでこのミュールはその前後トレッドに対応するオーバーフェンダーを追加してテストしているわけだ。車体下に林立するブロックは、おそらく路面との動的クリアランスを検証するためのアブレーダブルなスケールだろう。これを見ても新プラットフォームはまだ開発途上な部分が多いことが想像される。さて、ポルシェの技術者はどんな魔法で難題をクリアしてくるか、いまからとても楽しみだ。
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