市販車への採用もそう遠くはない?
アウディはCES 2016にて、「e-tronクワトロ・コンセプト」のインテリアモックアップを用いてディスプレイとオペレーションの最先端コンセプトを紹介した。これまでのバーチャルコクピットを進化させた「バーチャルダッシュボード」と呼ばれるそのインテリアコンセプトは、メータークラスター内全面とセンターコンソールに2面、計3つのディスプレイを設置しているのが特徴だ。
なかでもひときわ目を引くセンターコンソール上部の巨大なディスプレイはAMOLED(アクティブマトリクス有機EL)技術を採用しており、対角14.1インチで解像度は2240×720ピクセルを誇る。スクエアではない凝った画面形状はAMOLEDだからこそ可能になったそうだ。ここにはナビゲーションの操作画面やマルチメディアコンテンツといった定番のインフォテインメント情報を表示できる。その下の比較的小さいディスプレイは手書き入力やオートエアコンの操作用だ。メータークラスター内のディスプレイには12.3インチのTFTを採用。1440×540ピクセルの高解像度を活かし、美しい3Dグラフィックでさまざまな情報が描画されるという。
これら3つのディスプレイに表示するコンテンツを自由に組み合わせ、個々人がお好みの運転環境を仮想的に構築できるところが「バーチャルダッシュボード」なる名称の由来なのだろう。もちろん、コンテンツのアップデートや機能そのものの拡張にも対応している。また、ユーザーごとの行動パターンや好みを反映させる学習機能を備えており、たとえばナビであれば、決まった時間に特定の目的地に向かうような場合、混雑が予想されれば早めの出発を提案してくれたりするそうだ。
操作方法には、触覚フィードバックが導入された。表示されたリストのスクロールやエアコンの調整アイコンを触れると、その指先にはっきりとした触感を伝えてくるというもので、タッチスクリーン操作の弱点である画面を凝視する必要性が軽減され、意図しない誤動作を防ぐ効果が期待できる。
バーチャルダッシュボードを採用したコンセプトモデルのe-tronクワトロ・コンセプトは「HERE」にも対応している。これはセンチ単位の正確なナビゲーションデータを必要とする自動運転車を見据えた、アウディのほかにもBMWやダイムラーも参加しているインフラで、対応車両からの情報によって正確な地点データを蓄積し、共有するクラウドサービス。たとえば最寄りの充電ステーションの正確な位置情報、あるいは最新の渋滞や障害の情報を適宜3Dマップ上に表示できる。
このバーチャルダッシュボードの構成要素は、メータークラスターのTFTディスプレイなど、部分的にはすでに生産車での採用が進んでいる。すべてを搭載した市販モデルの登場も、それほど先の話ではなさそうだ。