美しい国を、愛しいクルマで
FILE.01 静岡県 下田街道 編
日本にはまだ知られていない、素晴らしいドライブルートがたくさんある! 本連載は、国道、街道、ドライブウェイ・・・といった、さまざまな「道」をテーマに全国選りすぐりのコースを紹介してゆくもの。試乗車をお借りするのは、国内に幅広い販売網を持つヤナセの各拠点から。地元に根ざしているからこその、とっておきの情報も教えてもらいます!
荒れた険しい旧道に先人の苦労を想う
伊豆半島の中央を貫く下田街道。この道は海や山の絶景、名湯に地元料理……といった旅の醍醐味に溢れるだけでなく、昔読んだ文学の古典や遠い歴史にまで思いを馳せることのできる、とても贅沢なドライブルートといえる。起点は東海道の三島宿、三嶋大社の門前であり、伊豆長岡、修善寺、湯ヶ島といった名だたる温泉街を抜け、伊豆半島南端の町、下田へと至るおよそ70㎞の道のりだ。ルートはほぼ国道136号線と414号線をなぞるのだが、三島からおよそ15㎞ほど南下し、大仁の街中を抜けると急に景色が開けてくる。遠くには山々が連なり、眼下には狩野川の穏やかな流れが。そんな風景を見ながら堤防上を走るのは爽快そのものだ。
そこから10㎞ほど南下すると、下田街道は伊豆市の出口交差点で国道136号から414号に変わる。ここからは観光スポットが目白押しで、まずは伊豆随一の大瀑「浄蓮の滝」が、さらに山を分け入って進むと、いよいよ1905年(明治38年)に完成した「旧天城トンネル」が現れる。
明治時代の面影をそのまま残す石造りのトンネル
川端康成の小説「伊豆の踊子」でも有名なこのトンネルは、それまで天城山によって分断されていた中伊豆と南伊豆を繋ぐ待望の隧道として完成、以来多くの人や物資が行き来し、地域の活性化に大いに貢献することになった。幕末、密航を企てた吉田松陰は黒船に乗り込むため、ここ天城峠を越えて下田を目指し、アメリカの外交官ハリスは日米修好通商条約締結のため、松蔭とは逆に江戸へ向かった。そんな歴史に名を残す難所が、ようやく解消したのである。
現代の「天城越え」はパワフルな3リッターV6ツインターボエンジンで楽々だが、それでも旧天城トンネルに続く国道414号の旧道は、幅が狭い上に砂利道であるため、対向車が来てもすれ違うことは困難。運転はくれぐれも慎重に行なっていただきたい。
河津では桜と菜の花の競演も楽しめる
続いて河津七滝ループ橋をジェットコースターのごとく駆け降りたら、少し寄り道して河津の街へ。取材時には早咲きで知られる河津桜はまだ咲いていなかったが、2月下旬から3月上旬には桜と菜の花が同時に見頃を迎えるそうだ。
そしてペリーロードなど下田の観光スポットを辿った後、時間に余裕があればぜひ石廊崎まで足を伸ばしていただきたい。カーブを抜けるたびに目の前に現れる、奇岩が織りなすドラマチックな海の風景を存分に楽しめるはずだ。
下田街道~旅の風景
今回試乗車をお借りしたお店
ヤナセ東京支店
(メルセデス・ベンツ東京芝浦)
〒105-8575 東京都港区芝浦1-6-38
TEL:03-5440-4755(ショールーム)
国立美術館にも収蔵されるブロンズ像がショールームに!
試乗車をお借りしたのは東京・芝浦にあるヤナセ本社と同居する東京支店。高い吹き抜けと18台が置ける首都圏最大の展示スペースが特徴だが、さらに世界的に有名なブロンズ像までがあるのをご存じだろうか。この「弓をひくヘラクレス」は、ロダンの弟子だったフランス人彫刻家、ブールデルによる1909年の作品。同社が創業間もない頃、初代社長の梁瀬長太郎氏が会社の精神的象徴とすべくパリで入手したものだとか。さすが老舗と感じさせるエピソードである。
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