2〜3000万円の豪華「フルコン」展示も増え、上級志向がさらに高まる
日本国内で最大規模を誇る「ジャパンキャンピングカーショー」(2024年2月2日〜5日、於:千葉県幕張メッセ)が開催された。幕張メッセでは、2005年初開催の「キャンピング&RVショー」から数えると、2011年に現在のジャパンキャンピングカーショーに名称変更後を含めて合計20回目となる記念イベントとなった。
出店社数171社、また出展車両392台は過去最多である。このうち、本ショーで初披露の車両は50台に及ぶ。背景にあるのは、国内キャンピングカー市場の安定成長がある。一般社団法人 日本RV協会の「年次報告書2023」によれば、国内キャンピングカー保有台数は15万5000台となり、販売総額は1054.5億円とついに1000億円の大台を突破した。こうした国内キャンピングカー市場の成長を後押ししている大きな要因は、やはりコロナ禍での「ライフスタイルの変化」だ。
リモートワーク、三密への配慮、家族との生活の重視、二拠点居住、さらに「人生元気なうちにもっと思い切り楽しみたい」という願望など、「生活空間の移動」という概念が日本でも徐々に広まってきている。これを一般的に、ライフスタイルの変化を称する場合が多い。
実際、国内キャンピングカー販売総額の推移をみると、コロナ禍初期の2020年と2023年を比較すると2倍もの伸びがある。市場の中身をキャンピングカーの種類で見てみると、ワンボックスカーを改良した「バンコン(バンコンバージョン)」では、やはり「ハイエース」の一強状態に変化はない。
また、一昨年の市場導入から一気に新カテゴリーとして定着したのが、ステランティスのフィアット「デュカド」をベースとした1500〜2000万円程度の商品群だ。国内大手のキャンピングカービルダーの多くが「ハイエースのバンコンからの買い替え需要が確実にあるほか、キャンピングカー初購入のユーザーも着実に増えている」と話す。
海外ブランドが、いわゆるホワイトボディを販売するという過去に例のないステランティスジャパンの事業戦略が成功したと言える。
このほか、2000万円〜3000万円の豪華「フルコン(フルコンバージョン)」の展示も増えており、キャンピングカーに対する上級志向がさらに高まっているようだ。
一方、庶民派の「軽キャンパー」でもコスパ重視から各種装備のフルパッケージ型まで、市場競争がさらに激しさを増している。
今後もキャンパー市場は着実に成長しそうだ。
この記事を書いた人
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。
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