クルマ好きなら一度は思う(?)「他人と絶対に被らないクルマが欲しい」。そんな気持ちにお答えするべく、所有欲を異常に満たしてくれる2台の劇レアなイタリア製チューコ車をチョイス。後編は2代目パンダのコラボモデルを紹介。
見て乗るだけでも心ウキウキ、気分上々!
もう一台は「フィアット・パンダ・アレッシィ」である。2代目パンダ(ニューパンダ)は2003年に登場。初代のコンセプトと異なり小型MPV風のスタイルに一新されていた。これは、このクルマがもともとパンダではなく「ジンゴ」として用意されていたからだ。しかし改めて2代目パンダを見てみると、時代に合わせた必要最小限な実用車という意味では初代パンダの哲学をしっかり継承していることに気づく。そのパンダに2006年に追加されたのが「アレッシィ」だった。
アレッシィとはご存知の通りイタリアのキッチン用品メーカーで、ポップでオシャレなデザインで有名。パンダ・アレッシィはニューパンダの上級グレード「マキシ」をベースとしたコラボモデルで、最大のポイントは明るく陽気な内外装だ。オレンジ、黄緑、黒と白を組み合わせた3パターンのボディカラーにオレンジ、黄緑のインテリアを組み合わせ、ポップなパンダの魅力をさらに引き出していた。コラボ車ながら限定版ではなく、カタログモデルとして販売されたことも面白い。
【写真13枚】見て乗るだけでも心ウキウキ、気分上々! フィアット・パンダ・アレッシィの詳細を写真で見る
機関的には至って普通のニューパンダで、1.2L直4SOHC+セミATのデュアロジック。最高出力は60PSしかないし、ギアもギクシャクする。だけどそんなことはこの陽気な雰囲気が全部消してくれる。見るだけで、乗り込んだだけで心ウキウキ、気分は上々になれるのだから。パンダ・アレッシィも新車で売れた台数、残存数ともに絶対的に多くない。チューコ車市場では一桁台の流通が確認できる程度だ。
【Specification】フィアット・パンダ・アレッシィ
■全長×全幅×全高:3535×1590×1570mm
■ホイールベース:2300mm
■トレッド(F/R):1370/1370mm
■車両重量:960kg
■エンジン:直列4気筒SOHC
■総排気量:1240cc
■最高出力:60PS/5000rpm
■最大トルク:10.4kg-m/2500rpm
■サスペンション(F/R):ストラット/トーションビーム
■タイヤ(R&F):155/80R13
他人と絶対に被らないクルマが欲しい人のために
では、どうしたら「他人と被らないクルマ」を見つけることができるのだろうか。筆者の経験では、「そういうクルマが集まる店を常にチェックしておく」「面白いクルマが来たら教えてもらうよう、店に声をかけておく」「常に、レア車が出てこないか中古車やネットオークションの情報をチェックしておく」ことだと思う。
今回の2台を扱っているエスパートの鶴岡さんも「ウチにはこういうクルマが集まってきます(笑)」と語る。市場価値はつきにくいが、マニアや知っている人から見たら垂涎モノのクルマは、手放す際、普段からレア車が集まっている店に問い合わせるである。自分も309はまさにそんな店に張っていたアンテナに引っかかったクルマだし、手放す時もやはりレア車が集まる店に相談したい。すると、もし手放した時は、その店には僕の激レア309が並ぶのだ。
最後に新しい「他人と絶対に被らないクルマが欲しい」人のために一言、「他人と被らないクルマ」は楽しい。街中で視線が自分の地味ぃ〜なクルマに向かっている時は、その相手に「むむ、お主、できるな!」とシンパシーを感じたりする喜びもある。変態さん、というこの手のクルマ乗りには最高の称号ももらえる(笑)。ただしあまりにレアすぎると匿名性がなく、「昨日、◯◯にいましたよね」と言われることもあるので要注意!(笑)
しかし、レア車だとパーツの入手や維持には多少の困難もある。なので信頼できるショップや主治医がいたほうがいい。特に専門店は心強い存在だ。
この記事を書いた人
1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。
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