ボクらのヤングタイマー列伝:第17回『オペル・カリブラ』風洞実験で得られたCd値=0.26の流麗なスッキリ空力ボディ!

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという、かつて小社WEBサイトでひっそり!? 連載していた伝説の連載、その進化版がこの『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回はドイツ車ということで、これまで登場していないメルセデス・ベンツでもBMWでもなく、ハイ、オペルです! しかもカリブラいっちゃいますヨ!!

ボクらのヤングタイマー列伝第16回『フィアット・ティーポ』の記事はコチラから

風洞実験で得られたCd値=0.26の流麗な空力ボディは、現代の穴が多いクルマに比べたらなんともスッキリ!

昨今の新車市場は輸入車が特別扱いされず、ごく当たり前の選択肢になりました。その主役はメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、アウディ、BMWなどのドイツ車なのはご存知のとおり。でもドイツにはほかにフォード(欧州)とオペルがあり、どちらもドイツではBMWにせまる7%前後のシェアを持っています(2017年)。ところが現在、日本には両社とも正規輸入が行われておらず、必ず”輸入車カタログ”に載っていた時代を知る者としては信じがたい限り。今回取り上げるオペルは1950年代から正規輸入が行われており、輸入車の代表格といえる存在でした。昔のTVドラマや特撮などでは”外車=オペル”、とも言えるほどに出演していましたっけ。

おっと前置きが長くなりました。今回取り上げるのは、そんなオペルのクーペ、『カリブラ』です。カリブラの登場は1989年。オペルのDセグメントサルーンでアスコナの後継車だったベクトラ(A型)をベースにしたスペシャリティクーペで、カツカツのスポーツカーではなく、ハッチバックスタイルでリアシートもちゃんと使える”2+2実用クーペ”という位置付けでした。ベクトラ自体がオペル新時代を告げるようなクリーンな空力ボディ、スーパーコンピューターを活用した設計を持っており、同様にカリブラも風洞実験で得られたCd値=0.26という流麗な空力ボディを誇ります。今見ても本当に綺麗なクルマですよね。薄いヘッドライト、つるんとしたバンパーなど、現代の穴が多いクルマに比べたらなんとスッキリしていること!

カリブラは前任のクーペ、マンタのFRレイアウトから、ベクトラ・ベースになったことを受けFFとなりました。エンジンは8バルブSOHCと16バルブDOHCエコ仕様、通常の16バルブDOHC、それにターボを載せた計4種類の直4と2.5リッターV6が存在。駆動方式にはFFと4輪駆動が用意されていました。

スポーティさも強調したカリブラは、そのイメージを強くするためにDTM(ドイツツーリングカー選手権)にも名門ヨーストの手によって参戦し、メルセデス・ベンツ190E2.5-16、BMW M3、そしてあのアルファロメオ155TIとともにシリーズを盛り上げました。

マンタのお話も少しだけ。マンタ(A型)は1970年に登場。1975年のフルモデルチェンジでマンタ(B型)となって、カリブラが出るまで発売されました。マンタといえばオーバーフェンダーも勇ましい、グループ4、グループBに参戦したマンタ400が思い出されますね。

日本にも正規で入っていたカリブラですが、当時から珍しいモデルでした。たまに中古で出て来ますので、どうせ乗るならバッジとグリルをボクゾール(オペルは英国ではこのブランドで呼ばれる)仕様に換えて乗ってみたい、という密かな野望があったりします(笑)。

カー・マガジン472号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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